第18話
まりの一言に京子は言葉を詰まらせた。その間にまりのがたたみかける。
「大体京子ちゃんみたいに勉強ばっかりして出世したってね、今度はその地位を狙ってダメ男が寄ってくるに決まってるじゃない。そうだよ。わたしのこととやかく言ってるけど、じつは京子ちゃんのほうが危ないんじゃない? わたしと違ってたいして男の子に免疫ない中で、急にちやほやされてさ、キャリアのある女性エリートがとんでもないダメ男と結婚して一生その人にみつぐような人生が待ってるだから!」
「そ、そそそ……」
口をぱくぱくあけ反論しようとするのだが、なにやら思い当たるものもあるらしく、身をこわばらせたままに言葉を出せずにいた。はなとみかこはとなりで他人事のようにぼーっと見ている。
京子はわっと泣き出して机に突っ伏した。
「そうよそうよ、どうせ私なんてかわいげのないガリ勉よ! いくら勉強して出世してもはなみたいないい家庭なんて築けないのよ。そんなもの私に待ってないんだわ!」
わーわー叫び言いたいことを吐き出していた。はなとみかこはそのまま見ているだけだったが、追い詰めた張本人であるまりのはそっとそばによると肩に触れ言葉をかける。
「いいの、大丈夫だよ京子ちゃん。だれだって最初は選ばれたりしないの。今からだって遅くはないよ。一緒にかわいくなろ」
「まりの……」
顔を上げると見つめあう。しかし京子はすぐに立ち上がるとまりのの手を撥ねた。
「冗談じゃないわ! そんなの敗北よ」
「なんでよ!」
にらみ合う。
「当たり前でしょ⁉ そりゃ確かに私はモテないし男と縁がないかもしれないわよ。だからってまりのがいい家庭を築けるようになるとは限らないじゃない。ううん、どっちかっていうと限りなく低いわよ」
「そんなことないってば! なによ、京子ちゃん自分がいい家庭築けないからってやつあたり⁉ 将来のことを考えてやらなきゃいけないこと間違ってるんなら素直に認めればいいじゃない。わたしの方が家族をつくっていくためには向いてるんだよ」
「違うわよ!」
「違わないもん!」
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