第12話

「そうよ。持てる者は持たぬ者を理解しないのよ」

 腕を組んでふんぞり返っている。はなはまだ納得いかなかった。

「じゃあさ、さっきも言ったけど、家族なんて京子ちゃんもいるわけだから、あたしみたいな家族になれるように頑張ればいいんじゃないの」

 とにかく何か言わなければ気がすまない。しかし京子は聞く耳を持たないようだった。

「それははながいい家族に恵まれているからそんなこと言えるの。私たちはそんなことも望めないのよ」

「なんでよ」

「やっても無駄だもの」

「どうして」

「親が聞いてくれるとは限らないでしょ」

「うちだってそうだよ」

「…………」

「……」

 言うことがなくなってしまったのか、沈黙してしまう。はなはそれでも京子を見続けた。目をそらされてしまう。

 なんだか納得いかない。

「じゃあさ、京子ちゃんがこれから勉強して偉くなるのだってさ、みかこちゃんみたいにまではなれないから無駄なんじゃないの」

「違うわよ!」

 これはすぐに返事が返ってきた。

「どうして」

「だって一生懸命頑張ってるもの。努力は人を裏切らないわ」

「なら家族に対してでも同じじゃない」

「それは違うわよ。家族の関係はもう出来上がってるもの。私の人生はこれからのものだから、私自身で決めていけるわ」

「でも京子ちゃんの人生の根っこには家族のことがあるんだから、家族のことも努力して解決しないと京子ちゃんの人生を京子ちゃんらしく生きていけないじゃない」

「そ、そんなことないわよ!」

 必死になって言う。しかしはなはまだ納得いかなかった。

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