第6話
「あ、あら……?」
みかこは自分の意見に同意してくれているものと思っていたので戸惑った。京子とまりのが続ける。
「いい、みかこはお金持ちだからいざっていう時が来てもお金で何とかなるの。でも私たちにはそんなことできないわ。なんとかできるほどのお金なんてないの。そして手に入れることも出来ないの。となればどうすればいいと思う?」
ぐい、と顔を近づけられて言われた。はなは困って遠ざけようとしたが、逃げた先ではまりのが迫る。
「そうした時にはね、誰かに頼るしかないんだよ。でもそんな誰かなんて都合よくいないんだからね。となるといつでもそばにいてくれる人なんて一つしか考えられないじゃない」
嫌々離れるとみかこの後ろへとはなは隠れた。みかこも困惑していたが、それでも一応はなをかばって前に立ってくれる。
「そ、それはわかりますけど……」
「そ、そうかな……」
みかこの感慨に対しはなは首をかしげたが、京子もまりのも意に介す様子はない。
『それは家族!』
びしっ、と二人して天井を指した。みかことはなはつられて見上げたが、そこには木目があるだけに過ぎない。
「家族がいればね、いざっていうときには助けてもらえるもんなんだよ」
「そうよ! 困ったときに助けてくれるのは家族だけ。遠くの親戚も近くの他人ももう助けになんかならないの」
またもぐい、と顔を近づけた。二人は三歩引いた。
「そして、みかこはお金を持ってる。はなは家族を持ってる」
「でもわたしたちはなにも持ってないんだよ」
なぜか自信満々にそう告げたのだった。
一方的に断言されてどう答えていいかわからないはなとみかこであったが、互いに顔を見合わせるだけでどうすることも出来ない。お金にしろ家族にしろ、どちらも言いがかかりのようなもので、京子とまりのは単に自分たちにないものをあげつらって人を攻め立てたいだけのようにも感じるのだった。
しばし沈黙が続く。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます