第4話
「それに京子さんもまりのさんも思いませんの? はなさんみたいな家庭で温かく過ごしたいと思いませんか」
『うううっ……!』
今度も思い当たるのか、ふたりしてうめいた。
「もしかしたらみかこの言う通りかも……はなみたいに一丸となれる家族がいればここまで無理して頑張らなくてもいいんじゃ……」
「そうだよね……だってわたしたち、一人だし。だから頼れる人探して一生懸命なんだよね……」
なにやら様子がおかしい。ちょっと嫌な予感しながらはなが見ていると、ふたりして急に振り向いた。
「そうだわ。みかこの言う通りよ! はなは恵まれすぎているわ」
「そうだね。人間誰かに頼れるなんていうの、もう贅沢なんだから!」
「え、えぇ⁉」
いきなり非難されてはなはおどろいた。
「どうしたの京子ちゃんまりのちゃん。あたしなんて恵まれてないよ。みかこちゃんでしょ、恵まれてるの」
いつもならこうした向かい先はみかこへと向くのに、それが今日ははなへと向いた。しかしどういうわけか二人はかたくなにはなを見据えたままだった。
「ううん。みかこちゃんに言われてわかったの。そう、世の中やっぱり人のつながりが大切だよね。そしてその最も大切なものが家族。だとしたら一番恵まれてるのははなちゃんだよ」
「そうよ。今まで私たちも間違っていたわ……お金と物が大切だと思ってたけど、それだけじゃ駄目なのね。みかこだって孤独なんですもの」
急に今までと言っていたことが変わる。みかこの言い分に感化されたのかもしれないが、あまりの変化にはなはたじろいてしまった。
「わかってくださいましたのね!」
しかし言い出しっぺのみかこは顔を輝かせていた。
「そのとおりですの。人間人と人との絆こそが大切なんですわ。そしてその最も結びつきが強いものこそ家族……まりのさんの言う通りですわ!」
妙に感動して涙を流さんばかりに感極まっていた。残りの二人も同じような様子で、はなはまた一人取り残されたようになっていた。
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