第15話

「じゃ、じゃあいうけど……」

 うんうん、とみかこが目の前でうなづく。

「私もおばあちゃんからもらった人形よ……」

「まぁ!」

 うれしそうに微笑んだ。テーブルを回り込むとまりのの肩に手を置く。

「まりのさんと一緒ですのね。やっぱりおばあさまからいただいたものは思い出に残るのでしょうか」

 またわくわくしていた。祖母と同居のはなにはそんな覚えがないため、またおいてきぼりを食らったような気がしてきた。

「そうなんだ。でもどうしていいたくなかったの。別にいってもかまわないじゃない」

「いやよ! なんかわからないけど、恥ずかしいじゃない」

 妙に顔を赤らめて伏せてしまう。まりのも不思議そうに首を傾げた。

「そう? わたしべつに恥ずかしくなかったよ。なにが恥ずかしいの」

「そりゃまりのはぬいぐるみでも似合うかもしれないけど……」

 まだ恥ずかしそうに頬を染め言い訳がましくごにょごにょ言っている。それを見たまりのは人の悪い笑みを浮かべた。

「それって、つまりわたしならぬいぐるみが似合うってことだよね」

「そうよ。まりのはぬいぐるみっていったって別におかしくないじゃない。なんだかイメージにも会ってるし、そうかな、って気がするし」

「京子ちゃんならイメージがあわないってわけ?」

「当たり前じゃない! さっきもはなが言ってたでしょ、私に似合うのは参考書程度なのよ」

「ご、ごめん……」

 思わず言ってしまった言葉に棘を感じられてしまったようではなは頭を下げる。

「京子ちゃんじゃ人形っていったら似合わなくて恥ずかしいの?」

「そうよ。何度も言わせないでよ」

 普段の異臭返しかと思ってまたにらみつけた。しかしまりのの表情は人の悪い笑みで満ちていた。

「な、なによ、その顔……」

 いやがうえにも不穏なものを感じてしまった。

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