第13話
「ならやっぱりわたしみたいに大切な物あるんじゃないの」
「うっ……」
それを聞いてみかこが顔を輝かせた。また手を打つ。
「まぁ、京子さんの大切な物ですか。それはぜひ聞きたいですわ。わたくし、とっても興味があります」
きらきらと京子を見つめた。あまりの輝きに目をそむけたが、わざわざ視線の先までまわりこんでみかこは京子を見る。さらに避けて反対をむくとそこにも回り込む。カーペットの上をくるくると回った。
「ぜひ聞きたいですわ!」
すっかり逃げ場を失い京子は追い詰められてしまった。
「べ、べつに私も思いつかないわよ。みかこやはなと一緒よ」
「そんなことないよ。反応違ったもん」
即座にまりのが指摘した。鋭い視線でにらみつけられたが、さっとはなのうしろへと隠れた。おかげではながにらまれてしまう。
「ほら、まりのさんもそうおっしゃってますわ。きっと京子さんにも大切な物はあるに違いません。教えてくださいまし」
わくわくしている。どうやら本当にみかこはその人が持っている大切な物というものに憧れがあるらしい。ぐいぐい詰め寄られる様子に京子は困惑している。
「そ、そんなことないってば」
「いえ、きっとありますわ」
「どうしてそんなことわかるの」
「まりのさんもそういってますもの」
「そんなの間違ってるかもしれないじゃない」
「そんなことありませんわ」
「なんでそんなこといえるの」
「直感ですわ!」
なにを言っても逃れられない。とうとう目が泳ぎだしまりのとはなを見るが相手にされない。まりのはむしろ追い詰める様子で見返し、はなはまたにらまれるのが嫌で目をそらした。
「うぅ」
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