第11話

 ちょっと怖くなったはなはみかこ助けを求めた。しかしみかこは自分の言いたいことに夢中のままのようだ。

「そんなことありませんわよ。だって京子さんもまりのさんも、はなさんも、みなさん楽しそうですわ。わたくしの人生だけがいいものだとは限りませんことよ」

 話題がそらせそうだったので必死になってうなづく。だがふたりの方は火がついたようだった。

「それはみかこが生まれながらのお金持ちだからよ! 求めるものにお金が入ってないの。だから大切な物を思い出に求められるのよ」

「そうだよ。京子ちゃんのいう通りだよ。わたしたちがかわいくなったり勉強したりするのは全部お金のためなんだから」

 ちょっとはなは絶句してしまうくらいの素直さだったが、言うふたりは気にした様子もない。ある意味強い、とはなは感心した。

「それは……たしかにわたくし、お金に困ったことありませんですけど……」

『ほら!』

 鬼の首をとったかのような表情だった。

 みかこはみかこで苦渋に満ちた表情をしていたが、なんとかしぼりだす。

「じゃあ、まりのさんはおばあさまからいただいたぬいぐるみ、誰かが高い金額で購入するっていわれたら、お譲りするんですの?」

「え?」

 口を開けたまま目をしばたたかせた。いわれた意味がよくわかっていないようだ。隣で京子が険しく目をむける。しかし京子が口を開くよりも前にみかこが言葉を発した。

「お金持ちになるのが目的でしたら、その思い出の大切な物をお金に換えてしまえることは出来るんですの?」

「そ、それは……」

 さすがに口ごもんでしまった。はっきりと対比されてはうなづくことは難しいらしい。

「わたくし、そうした思い出の品はいくらお金を積まれても代わりにならないと思いますの。間違っているでしょうか……?」

「う、うぅ……」

 うめき、悩んでいる。まりのもまた助けを求めて京子を見た。

 京子が口を開く。

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