第7話

「でもみかこちゃんのいってることも間違ってないと思う。たしかに値段とは関係なく大切な物ってあるよね」

「まぁ、はなさんわかってくださいましたの!」

 嬉しそうに手を叩いた。それから京子とまりのへと目をむける。

「おふたりもきっとそうしたものがありますでしょう? どのようなものが大切でしたの」

「大切なもの……」

「え、うーん……」

 ふたりして悩みこんでしまった。

「なんかふたりともこれからのもののほうが大切そうだよね」

 ぽろっとこぼしたはなの感想にまりのがむきになる。

「そんなことないよ! わたしだって大切なものあるもん!」

「あるの⁉」

 反応したのはむしろ京子で、そのことにまたまりのが反発する。

「あるに決まってるじゃない⁉ わたしのことなんだと思ってるの」

 少しふんぞり返った。その態度に京子の方はかちんときたらしく、立ち上がると腕を組んで見下ろす。

「本当かしら。まりののいうものだから大したことないんじゃないの。どうせ男をたぶらかすためのなにかじゃないのかしら」

 ふふん、と鼻を鳴らしてさげすんだ。まりのも立ち上がると正面から向き合う。

「そんなもんじゃないもん! なによ、京子ちゃんの意地悪! そんなんだからモテないんだよ!」

 ぐさぁ。

 と、音が聞こえたかのようにして京子の身体がくの字に折れ曲がると、床に手をついた。立ち直れないらしい。しばしそのまま動かない。

「ふっ、勝った」

 先ほどと逆転し相手を見下ろしながらみのりがつぶやいた。

「まぁまぁ、まりのちゃん。それで大切な物ってなんなの」

 はながとりなしてふたりの間に入った。まりのは気を緩めたのか、にっこりと微笑みながらはなを見る。

「あ、それはね、昔おばあちゃんからもらったぬいぐるみ」

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