第4話
「ちょ、ちょっとまりの。もしかしてこのテーブルもすごい高いんじゃないの」
「ほ、本当だ京子ちゃん。これつるつるしてる。きっと大理石だよ」
空いた隙間に手のひらをつけてあきたらず、さらにこすりつけた。きゅっきゅっと音が鳴り小気味いい。
「大理石なんかじゃありませんわ。あんなもの重くて部屋づかいするには不便ですもの。ごく普通のテーブルですわ」
「ほ、本当……?」
ちょっと疑ったままにみかこの顔をうかがう。しかしにっこりと力強く微笑む顔を見て安心したようだ。手をはなすと胸につけて息を吐く。
「なぁ~んだ。よかった。みかこちゃんちだから、なんでもかんでも高いのかと思ったよ」
「そんなことありませんわよ」
「そうだよね。部屋の中のものだもんね。そこまで高くないよね」
そう言いながらまりのはまた部屋を見回した。天井からはシャンデリア。足元は目の細かいカーペット。視線を遠ざけると天蓋付きのベッド。どれもこれも重厚感があり繊細な意匠が凝らされ、みかこの家以外では見たこともないような威光を発していた。
同じように見ていた京子のほうが先に不安になる。
「ちなみに……このテーブル、いくらぐらいするの」
「さぁ……知りませんわ」
まだ京子は不安なようで、続けて質問をした。
「それじゃあ、いつからあるの、これ」
「結構昔からですわ。小学生のころくらいだったような気がしますけど……」
みかこはみかこで、目の前のテーブルがいつごろからあるのか気にもとめておらず思案気な顔をする。
「ど、どうやってこの部屋に来たのか覚えてない……?」
「う~ん……」
しばし首をひねった結果、
「そうですわ。たしかおじさまからいただいたんでしたわ」
「おじさまって」
話に入りたくなってはなが聞いた。
「たしかスペインで家具メーカーかなにかのお仕事をしてるっていってましたわ。それでわたくしにプレゼントしてくださったんですの」
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