第21話
「なんでよ、私たちがなるべきなのははなみたいになのよ。直接みかこを狙ったってしょうがないじゃない」
「違うってば。ターゲットはみかこちゃんなんだから、間に入ってるようなはなちゃんを目指すのは目標を下げてるようなもんなんだよ」
なんだか残された二人には失礼極まりない応酬と思われるのだが、そう思うのははなだけらしくみかこは楽しそうに見つめていた。お金持ちの余裕かもしれない。はなが尋ねてみる。
「……でもあたしたちそもそも友達でしょ」
「はい、そうですわ」
「……なら別に目的とかターゲットとかにしなくてもいいんじゃないかな」
「きっとそう思う方が二人はたのしいのですわ」
言われて京子とまりのを見る。ハブとマングースに見えた。
「そういえばみかこちゃんちは昔からうちで野菜買ってるよね。なんでだっけ、たしかおばあちゃんがみかこちゃんのお父さんと仲いいんだっけ」
「あ、そんなこと聞いたことがありますわ。子供のころ随分面倒を見てもらったんですって。ですから我が家は親子二代はなさんのおうちにお世話になっているわけですわね」
もしそうした関係性がなければ、こんなお金持ちのお嬢様とは友達になれなかったかもしれない、とはなは感謝した。そしてにらみ合ってるほうの二人を見る。どうもそんな感謝は持ち合わせていなさそうだった。
「いっそのことあのふたり、みかこちゃんの会社にやとってあげたら」
「それもいいかもしれませんわね。でも日本で就職すればどこかでうちと関係する可能性がありますから、きっと放っておいてもそうなりますわ」
「そ、そう……」
揉めてる二人を横目に微笑むみかこを見ていると、孫悟空と猪八戒がお釈迦様の手の上で踊っているようにも見えた。
「みかこさんが八百屋さんをついでもわたくしの家にお野菜持ってきてくださいましね」
「う、うん。それはそうするけど……」
「きっとわたくし、かわいい赤ちゃんを抱きながらうけとりますわ」
多分本当にそうなるんだろうな、と思いつつ、その姿を想像してみるとそれはそれで悪くないような気がした。
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