第4話

「みかこは放っておいてもお金持ちの人生が待ってるからいいけど、私たちはちがうのよ!」

 そういってちゃぶ台を回り込んでまりのの隣に座った。急に同類にさせられてしまい困惑する。

「な、わたしは京子ちゃんと違って成績よくないからそんなこと関係ないもん」

「だから将来が心配なんじゃない!」

 二人を見ながらみかこもうなづいた。

「そうですわね。うちで働いてもらうなら、まりのさんよりは京子さんに来てほしいですわ」

「ほらっ」

 顔を輝かせたが、相手がお金持ちの同級生であることに気づいて肩を落とした。

「……なんなのかしら、同じ人生なのに不公平を感じるわ」

「わたしも」

 まりのも同意し、同じく肩を落とす。

「そもそも塾なんていくこと自体が非効率的ですわ。家庭教師に頼めば、こうして楽しくおしゃべりをした後にお勉強できるじゃありませんか」

『そんなのやとえるわけないでしょ!』

 これもまた二人で重なって叫ぶ。

「うちはサラリーマンなのよ。塾に家庭教師なんて、両方無理に決まってるじゃない」

「そうだよ。うちだって公務員なんだから。それに受験には家庭教師より塾でないと情報が入ってこないって聞いたよ」

 勉強嫌いにもかかわらずまりのが賛同する。喜んだ京子は真横へと向き直った。

「そうでしょ。だからやっぱり自分で勉強することも大切なのよ」

 そのまま勢いで手を握った。そして目を見る。げっ、とまりのは心の中で叫んだ。余計なこと言った、と思った。

「ででで、でもぉ~、わたしはどうせ頑張ったって京子ちゃんみたいに国公立なんてねらえないしぃ~」

「そんなことないわよ。なんだってあきらめちゃダメ。やってみないで無理なんていうことはないわ」

 目が燃えてる。勉強のこととなると何故か熱血娘に早変わりするのだった。

「は、はなちゃ~ん……」

 どちらかといえば最初から熱血娘のけがあるはなへと目で助けを求めるが、やはり前歯でかりんとうをかじっているだけで見向きもしない。

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