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これは、チャンスだと思った。
神様がくれた1回きりのチャンス。
私の女々しい想いを絶ち切るんだ。
「あの、ね」
「はい」
「あの時は…高校卒業のときなんだけど…。あの時は本当にありがとう。とても嬉しかった。なのに、返事もしないでごめんなさい」
竹内くんは少し驚いたような顔をして、手を口元にあてて黙ってしまった。
私もそれ以上何も言えなくて、俯いてしまう。
「先輩。俺、今でも先輩が好きです」
「えっ…」
「この返事は、今聞かせてもらってもいいですか?」
爪先から頭のてっぺんまで体が火照るのがわかった。
心臓が飛び出そうなくらい脈打ってるのがバレないように、私は拳をかたく握る。
「私は…あの…。竹内くんのこと…好き…かもしれないです」
「かもしれない?」
私の答えに竹内くんは、ふふっと吹き出した。
「俺、また先輩を困らせちゃったみたいですね。ぜひ友達からお願いできますか?」
どこまでもイケメンな竹内くんに、私はただただ頷くしかなかった。
女々しい想いを絶ちきるはずだったのに、絶ちきれないどころか前よりも想いが増してきていることに気づかざるを得ない。
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