05

引退後は、授業が終わったら塾に行ったり、塾がない日は補講を受けたりして、いかにも受験生といった生活をしていた。

教室から外を見ると、ちょうどテニスコートが見える。

みんな、頑張ってるのかな、と想いを馳せたりした。


そんなときでも、やっぱり竹内くんはすぐ発見できた。

キラキラしてるから見つけやすい。

教室から誰かを目で追いかけるなんて、まるで漫画の世界だと、笑えてしまう。


風の噂で、例の竹内くんの彼女が、テニス部のマネージャーになったと聞いた。

さすが彼女。

献身的なのね。


よくわからないけど、胸がチクリとなるのを感じた。


塾通いの成果か、はたまた補講の成果か、センター試験も無事クリアし、私はなんとか大学に合格することができた。

高校生活ももう終わりを告げている。

テニス部へは結局、引退してから一度も顔を出さなかった。

気にはなっていたけど、なんとなく彼女の存在が足を遠退かせて変な遠慮をしてしまって、行くことができなかった。

我ながら可笑しいなと思う。

だって、別に私は竹内くんを好きなわけではないし、なんらやましいことはないのだから。

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