04
彼女の存在に気づいてから、なんとなく竹内くんに軽口をたたけなくなった。
爽やかだね、とか、イケメンだね、なんて毎日のように浴びせていた私だったけど、それは先輩でありマネージャーである特権なだけであって、彼女にしてみればいい気持ちはしないかもしれない。
そう思ったから、ちょっと遠慮してしまった。
夏の大会は、二回戦敗退というなんとも中途半端な結果だったけど、全員ベストを尽くしたし、私も一生懸命サポートした。
これで私のマネージャー生活も引退。
顧問や部長の挨拶を聞きながら、この3年間をぼんやり思い出してじわりと涙が浮かんだ。
後輩たちから記念品を渡され、一言ずつ声を掛けてくれるのがまた嬉しくて、鼻をずびずびすすりながら「ありがとう」と言うのが精一杯だった。
「先輩、たまには部活見に来てくださいね。先輩がいないと寂しくなっちゃいます」
最後にそう竹内くんが言ってくれたことだけ、よく覚えている。
社交辞令だとしても、素直に嬉しかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます