62「報告」②
「聖属性? 魔術で聖なる力を使うということだろうか?」
ティーダの疑問に、「違うのだ」とナオミが首を横に振る。
「聖属性の力は、使おうと思って使えるわけではないのだ。条件というか、生まれながらに聖属性を持っていないといけないのだ」
「……そんな者がいるのか」
「魔術だと光属性が聖なるものとされるのだが、聖属性は聖属性であるのだ!」
ナオミが言うには、誰もが生まれながら属性を持っているようだ。
だが、大抵の人間はこれといって属性に対して恩恵があることはないらしい。
魔術が使える人間ならば、得意な属性が生まれ持った属性に偏るなど、わかるようだ。
「治癒士の大半は、聖属性なのだ!」
「……そうなの?」
「治癒は聖属性魔術というか、聖属性に属する力なのだ! でも……ただ聖属性というだけでは、あんまり珍しいわけじゃないのだ」
聖属性の真髄は、魔に対する浄化。
例えば、勇者ナオミ・ダニエルズは聖属性の聖剣を持つ聖属性の勇者だ。だからこそ、魔属性の魔王と戦う運命であったと同時に、魔王に対抗できる数少ない者だった。
聖女ディアンヌは、群を抜いた聖属性の力を持つが、浄化の力はさほどではない。
これは、生まれ持った素質であり、変えられないようだ。
「……だが、ナオミ殿、聖属性でどう災厄の獣と戦えばいいのか?」
「私の聖剣のように、聖属性の攻撃を使える人間がいればいいのだ」
「そんな者がこの国にいるのだろうか?」
「なにを言っているのだ、ティーダは?」
「どう、いう……まさか」
ティーダとナオミはレダを見た。
「ここにいるのだ!」
「え? 俺?」
レダは、耳を疑いながら、自分のことを指差す。
まさか、自分が聖属性を持っているなどとは夢にも思っていなかった。
「……ナオミ殿、本当にレダが?」
「そうなのだ! レダのアホみたいなゴリ押しヒールは、聖属性がやべーからなのだ! 魔術で敵をボコボコ倒せるのも、聖属性補正があるのでモンスターに追いダメージを与えているからなのだ!」
「えっと、つまり、俺は……災厄の獣と戦えるってことでいいのかな?」
「……戦えというつもりはないのだが、戦えるのだ!」
レダとしては、アムルスを守るためならば災厄の獣を相手に戦いたいと考えている。
だが、どうやって戦えばいいのかがわからない。
聖属性を持とうと、その力の使いようがわからなければ、宝の持ち腐れなのだから。
「しかし、レダに戦う術はあるのだろうか?」
レダが抱いた不安は、ティーダも同じだったようだ。
だが、ナオミはわかっているとばかりに、親指を立てる。
「問題ないのだ! 私が教えてあげるのだ!」
〜〜あとがき〜〜
属性に関しては、みんな持っている感じです。
水属性の人は泳ぎが上手いとか、火属性の人はやけどの治りが早いとか、そんな感じです。
本作ではあくまでも聖属性と魔属性を取り上げるだけの予定なので、問題なくお読みください。
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