30「弟子に関して」②
「ど、どうしたの、ネクセン? 急に弟子だなんて」
レダとネクセンは、師弟の関係ではない。
年齢的にはすこしレダの方が年上だが、治癒士としての経歴はネクセンの方が長い。
膨大な魔力を持つレダは力任せに治癒を行えるが、ネクセンは必要な魔力で必要な治療を的確に行えるという差もある。
そんなネクセンから多くを学び、レダの魔力の無駄な消費を抑えることができるようになっていた。
診療所の所長と所員という肩書きの違いこそあれど、関係は対等だと思っている。それは、ユーヴィンにいるユーリも同じだ。
「――レダ、俺はお前と出会うまでしょうもない治癒士、いや男だった」
「自覚があるならなによりねぇ」
「茶々を入れるな小娘っ!」
自らの過去を語るネクセンに、ルナが頷く。
とはいえ、彼を責めるものは誰一人としていない。
彼は十分すぎるほど変わったのだ。
「レダと出会い、治癒士として男として、人として俺は変われた。愛を知り、家庭を持ち、人として成長できた。そのことを感謝しない日はない」
「……ネクセン……そんな風に思ってくれていたんだ」
「そ、そのなんだ、普段は気恥ずかしいので言葉にできないが、俺は本当にレダに感謝しているんだ。いや、レダだけじゃない。いつも優しいミナや、口は悪いがなんだかんだと面倒見の良いルナ……ヒルデ、ヴァレリー様、アストリット様、ナオミ様たちにも感謝してもしきれない」
ネクセンは若干涙ぐみながら言葉を続けた。
「俺を変えてくれたレダは、俺にとっての師匠だ!」
「俺にとっても、ネクセンは師匠のような存在だよ」
「――っ、お前にそう言ってもらえるだけで、俺は嬉しい」
「ていうか、どうしてナンバーツーなのぉ?」
ルナの疑問に、当たり前だとばかりにネクセンは言った。
「レダの一番弟子は、ミナに決まっているだろう」
「あらぁ、その回答は百点満点よ。きっとミナも喜ぶわ」
弟子が増えることを、受け入れてもちょっと不満に思っていたミナを一番弟子と認識していたネクセンに、ルナは微笑む。
「――わかっているじゃない!」
ルナはネクセンの背中を思いっきり叩いた。
「いだいっ!?」
「さあ、パパ。ネクセンのことをみんなに紹介してあげて」
「もちろんだよ」
ルナの笑みに、レダもつられて笑った。
レダは、弟子候補の治癒士たちに向くとネクセンを紹介した。
「彼はネクセン。俺の信頼する治癒士であり、君たちの先輩だ。俺だけじゃなくて、ネクセンからもいろいろ学んでほしい」
「――はい! よろしくお願いします、ネクセン様!」
若き治癒士たちがネクセンに向かって丁寧に礼をした。
〜〜あとがき〜〜
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