2「王家の魔術」②
レダが出ていくと、ティーダは腕を組み、背もたれに寄りかかる。
アマンダも大きく息を吐き出した。
「……ローデンヴァルト様」
「わかっている。レダが無駄に背負わぬよう気安く言ったが、王家の魔術を……いくらアストリット様の結婚相手とはいえ、おいそれと教えてしまうことなど本来ならばありえん!」
はぁぁぁ、とティーダとアマンダが改めてため息をついた。
「おそらく、国王陛下にはなにか目的があるのかもしれません」
「……そうだな。王家の魔術を使える人間が各国でいなくなって久しいと聞く。レダの魔力量、稀有な治癒士としての才能ならば、使うこともできる可能性もあるのだろうが」
「王家の魔術をレダさんに使わせて、なにをするのか、ですね」
「そういうことだ。陛下はレダを認め、王女の婿に認めている。あまり勘繰りたくはないのだが……」
ティーダは悩むが、できることはないに等しい。
代々、王家の覚えが良いローデンヴァルト辺境伯家ではあるが、王になにかを言える立場ではない。
なにかを命じられることがあれば、肯定し、従う以外の選択肢はないに等しいのだ。
仮に、国王陛下がレダをなにかに利用しようとしていたとしても、ティーダに止める術はない。
不幸中の幸いと言えば、国王に意見できる王女が妻にいることだ。
レダの娘は聖女の娘であるし、人間と交流を絶って久しいエルフとダークエルフもいる。また、公にはできないが元魔王もいるのだ。
いくら陛下がなにかを考えていたしても、彼らを敵に回すことは良しとしないはずだ。
「……辺境伯様、ここだけの話ですが」
「ふむ?」
「あくまでも噂ではあるのですが……各国の王家の魔術の中には、攻撃魔術、回復魔術が記されているようです」
「……各国の過去の逸話を見れば、そうであろうとは私もわかる。正直、まるでおとぎ話のような出来事ばかりだが、王家の魔術という常人では叶えられない魔術が存在するのであれば、可能なのかもしれないな」
「はい。王家の魔術はいくつかあると噂されていますが……その中でももっと再現ができない魔術があるようです」
「まさか、それがレダに?」
「さすがにないとは信じたいですが……どの国も躍起になって使いたい魔術こそ、回復魔術なのです」
現在、怪我を治すことができる魔術は数多ある。
術師の腕にかかっているところはあるが、腕一本の修復ならば可能だ。
だが、失った物を癒すには時間が経ってないなどの条件がある。
しかし、過去の傷を、無条件に治すことができればどうだろうか?
例えば、病を治す魔術があればどうだろうか?
例えば、絶対的な癒しの力を治癒士ではない魔術が使えたらどうだろうか?
例えば――。
〜〜あとがき〜〜
レダが知る王家の魔術は?
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