70「五人目の治癒士」①
「お初にお目にかかります、ローデンヴァルト辺境伯様、ディクソン治癒士様。私はアメリアと申します。アマンダ様にご紹介していただきました、治癒士のひとりです。よろしくお願いします」
最後の治癒士は、黒髪をセミロングに切り揃えた眼鏡をした少女だった。
「まずは、感謝を伝えさせてほしい。ユーヴィンのために治癒士として力を関してくれたことに心から感謝します」
「いえ。治癒士として当たり前のことをしたまでのことです」
どこか真面目な印象を受けるアメリアに、レダとティーダが顔を見合わせた。
(普通の子ですね)
(普通の子だな)
ふたりは内心ほっとした。
貴族の子女、伯爵家の元当主と続き、最後に現れたのが普通の子で安心した。
(貴族ではないが、王都でも有数の商家の娘だ)
(普通、ではない可能性もあるかもしれませんね)
極力小さな声でヒソヒソと話をするレダとティーダに気づかず、アメリアは自己アピールをはじめた。
「もともと私は治癒士として勉強をしていたのですが、弱者を虐げる治癒士たちに辟易し、治癒士の道を諦めました」
「……周囲の反対もあっただろう」
「はい。しかし、多くの人間が「もったいない」「お金になるのに」という金のことばかりで、友人かと思っていた人間が俗物であることにショックを受けました。なぜか私が治癒士になったら一緒に金儲けをする予定を立てていた友人たちに文句を言われましたが、そのような人間を友人と思っていたなんて、と愕然としました」
レダは、アメリアに対し、潔癖な性格であると感じた。
生真面目であり、高潔なのだろうが、根本にあるものは潔癖だろう。
「こんな言い方はしたくないが、治癒士あるあるだな。治癒士を利用しようとたくらむ輩がいることは残念ながら、多い」
「当時はショックでしたが、今は良いタイミングで縁切りができてよかったと思っています」
アメリアは淡々と語った。
「正直、家業も順調で楽しくあります。治癒士に未練がないと言ったら嘘になりますが、毎日が満たされていました。ですが、そんな折、回復ギルドに大改革が起きたとしりました。新たなギルド長となったアマンダ様とご縁があり、改めて治癒士を志したのです」
少し鼻息荒くするアメリアが、熱のこもった瞳でレダを見た。
「改めて治癒士の勉強をし、苦しむ人を助け、治癒士は私の理想だと思いました。自分で言うのはあれですが、成績もルルウッド様に負けぬほど優れています。ローデンヴァルト様、ディクソン様のお助けになってみせます。どうか、私を弟子にしてください」
〜〜あとがき〜〜
五人目の治癒士さんアメリアですが、ちょっと面倒な子ではあります。
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