58「新米治癒士シュシュリー」①





 桃色の髪が印象に残る十代半ばほどの少女は、シュシュリーと名乗り深々とお辞儀をした。

 レダも釣られてお辞儀をする。


「シュシュリー殿。この度の働きに心から感謝します。あなたとも、何度かご挨拶をしたことを覚えていますが、大きくなられましたね」

「は、はい。ローデンヴァルト伯爵にはお世話になっておりまひゅ」


 ティーダの言葉から、ルルウッドに続きシュシュリーも貴族なのだとわかった。

 堂々としていたルルウッドに対して、シュシュリーはかなり緊張しているようで、レダは少し心配してしまう。


「あ、あの、ルルウッドさんも同じことをおっしゃったと思いますが、私のこともあくまでシュシュリー個人として扱っていただけたら嬉しいです!」

「……承知した。シュシュリー殿はご立派になられたようだ」


 とりあえず椅子に座ってもらい、あくまでも個人のシュシュリーとして面談をすることとなった。

 彼女は家名は伏せたが、とある貴族のご令嬢のようだ。


「シュシュリー殿……いや、シュシュリー。君も、ユーヴィンの街の人たちのために手を貸してくださり感謝する」

「い、いえ、治癒士として当たり前のことをしただけですから!」

「その当たり前のことを当たり前にできない治癒士が多いのが現状だ。いや、私を含め、当たり前のことを当たり前にすることは難しい。人はどうしても楽をしようとするし、良い思いをしたがるからね」

「それは……はい。思い当たることも私にはあります。ですが、治療できる力があるのに治療をしない選択肢は……私にはできません。少しでもお力になれたのであれば、よかったです」


 そう言って笑顔を浮かべるシュシュリーは、若いながらもしっかりとした治癒士であるとレダは心から思った。


「さて、話をいろいろ聞きたいのだが、君もレダの弟子になりたいということで間違っていないかな?」

「はい!」


 シュシュリーは大きな返事をすると、椅子から立ち上がり、レダに向かって大きく頭を下げた。


「四年前、私はレダ様に助けていただきました! あの日の感謝は今でも忘れていません! あなたのような治癒士になりたくて、頑張りました! どうか、私を弟子にしてください!」

「――え?」





 〜〜あとがき〜〜

 シュシュリーはかつてレダと会っています。


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