57「若き治癒士ルルウッド」③
ルルウッドは、レダにこの場の返答を求めなかった。
しっかり考えて、自分がレダの弟子にふさわしいと思った場合のみ、受け入れてほしいと願って出て行った。
「レダは人気者だな」
「……やめてくださいよ、ティーダ様。過剰に評価されているようで参ります」
またルルウッドたちは、必ずしも自分達を弟子にしなくていいと言った上で、治癒士としてこの場を放り出すことはしないと約束をした。ユーヴィンに治癒士が必要であり、アマンダが自分達に変わる治癒士を用意できるまで責務を全うすると。またこれは若き治癒士の総意であるとも言ってくれた。
これにはティーダが安心した。
レダの弟子になれないから、じゃあさようなら、となったらたまったものではない。
もっとも、ルルウッドの言動から今のユーヴィンから自分の要望が通らなかったから去っていくとは思いはしなかった。
「正直な話、どう感じた?」
「若いのにしっかりした方だと思います。俺はちょうどあのくらいの年齢の頃、故郷を飛び出して冒険者になりましたから……はっきり言って立派ですよ。治癒の腕も初歩は完璧のようですし、堅実に努力している方だと思います」
「個人的には、ルルウッドの家と関係ないわけではない。彼の人柄も知っているので、ぜひ弟子に推薦したい。そもそもアマンダ殿も問題のある人間を送ってはこないだろう」
「そうですね。俺個人は彼を……弟子にすることは賛成です」
レダとしては、ルルウッドと同い年の時、自分は彼のような志もなく、ただ冒険者に憧れるだけの人間だった。
過去を後悔しているわけではないが、少し、本当に少しだけ、当時の自分を思い出して苦々しくなる。
「では、ルルウッドを弟子として迎えるで進めよう。彼のような人間が我が領地で働いてくれることは嬉しく思う」
「そのことに関してはまったく同意見です」
――こうして、ルルウッドの弟子入りは決まった。
「では、次の者!」
ティーダが部屋の外に声を張ると、扉が開き幼さの残る少女が現れた。
「は、はじめまして! 私は、シュシュリーと申します!」
緊張気味に部屋に入ってきたのは、桃色のショートボブに切り揃えた小柄な少女だった。
〜〜あとがき〜〜
二人目の治癒士です!
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