41「ダンジョンのボス?」③
「ぶー! せっかく美味しそうなドラゴンだったのにー!」
「まぁまぁ、尻尾だけは振る舞っていいってなったんだから、それでよしとしようね」
「ぶー!」
ふくれっ面なナオミを肩車しながら、苦笑しながら宥めるレダは、街へ戻る道中だった。
ナオミは、ドラゴンの解体ショーをしようと企んでいたのだが、ティーダが泣いて「お願いだから勘弁してください! ドラゴンを食べるなんて、何が起きるかわからないからやめてください! なんでしたら、売りましょう! ね! ね!」と説得したので、渋々ではあるがナオミは諦めてくれた。
そして、交渉をし尻尾を丸ごともらって、街の人たちに振る舞う代わりに、ドラゴンの残りはすべてティーダにあげるという話となった。
いくらダンジョンが辺境伯家のものになるとはいえ、冒険者が回収したモンスターの亡骸をはじめとした戦利品は、あくまでも冒険者のものだ。それをくれるというのだから、ティーダとしても頷くしかなかった。
これでユーヴィンの復興資金を得たと、ティーダはにこにこしている。
「ドラゴンの肉は美味で、精がつくのだ! 街の人たちだって、一口たべたら元気もりもりなのだ! とくにルナは」
「ルナは?」
「なんでもないのだ。ルナやミナたちにも食べさせてあげたいのだ!」
「優しい子だね、ナオミは」
「ふふーん、なのだ!」
もうすぐユーヴィンが見えてくるだろう。
周囲にモンスターの気配はなく、このまま問題なく帰れるはずだ。
これからは、ダンジョンまでの土地を整備しなければならないし、王都や他国からも冒険者が集まってくるだろう。それまでに街も復興させなければならない。
他にも非道な商人に連れ去られてしまった者の行方も追わなければならず、すべきことはたくさんある。
レダには手伝えることは少ないが、ティーダはもちろん、ユーヴィンの人たちのためにできることをしようと決めていた。
「さて、ダンジョンも無事に見つかった! これからやることはたくさんだ! みんな、力をかしてくれ!」
ユーヴィンが見えて街の中に入ったティーダは、今回同行してくれた冒険者たちを奮い立たせるように声をかける。
冒険者たちも、レダも、ナオミも、腕をかかげて「おー!」と叫ぶのだった。
==あとがき==
最新コミック6巻が発売されております!
ぜひお読み頂けますと幸いです!
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