24「驚きの再会」①





「待ってくれ! あんた、本当に治療ができるのか!?」


 捕獲した患者たちを荷台に積み屋敷に戻ろうとしたレダを、ひとりの少女が呼び止めた。

 まだ十台半ばほどの少女だ。

 全身が汚れ、異臭を放っている。まともに食事もしないだろう。ボロ同然の服の隙間から見える手足は細く、全体的にやつれているように見えた。


「もちろんだよ。君も怪我をしているなら、一緒に」


 レダが優しく言うも、少女は疑いを持っているようだった。

 警戒するのも無理はない。

 意識を失った怪我人たちを荷台に乗せて運ぼうとする姿は、なかなかまともではない。

 だが、少女がもし怪我をしているのなら、放っておくことはできない。

 少女と目線を合わせ、努めて優しい声を出した。


「治療だけじゃない。食事も用意してあるし、お風呂に入って新しい服もある。体力が回復するまで、ちゃんと面倒を見るから、怪我や病気なら一緒に」

「あたいじゃないんだ!」

「え?」

「怪我をしているのは、あたいじゃないんだ。姉御が、姉御が!」


 涙を浮かべて訴える少女をレダは疑わなかった。


「お姉さんが怪我か病気なんだね? 動ける?」


 少女は首を横に振る。


「じゃあ、俺が運ぶよ。お姉さんはひとりでいいんだね?」

「うん! 頼む、あたいじゃ姉御を運べなかったんだ」

「わかった。みんなは先に戻っていてくれ。始められる治療と、食事、薬を与えるとかできることを頼むよ!」

「パパ!」

「お父さん!」


 ひとりで行動しようとするレダに、ルナとミナが心配の声をあげる。だが、レダは大丈夫だと笑顔を浮かべた。


「大丈夫。こっちは任せて。ボンボおじさん、みんなを頼んだよ」

「任せたまえ!」


 ボンボおじさんがいれば、ミナたちに万が一はないだろう。

 おじさんを信頼して、レダは少女の案内を受けることにした。


「――まだこんなに怪我人や病人がいるなんて」


 表通りからスラムと化している裏道に足を踏み入れると、そこにはまだ多くの怪我人、病人がいた。

 衛生面はもちろん最悪だ。

 食事だってまともに取れていないのがわかる。


「これでも減ったほうだよ。死んじまった奴もいるし、攫われた奴らもいるし。あたいたちは普段隠れて過ごしているから、攫われることはないけど、姉御の体力が限界なんだ。食べ物だってまともに食べていないし……」

「それは心配だね。早くお姉さんのところへ行こう」

「うん!」


 裏路地の奥にある建物が見えると、少女は指を差した。


「あそこに姉御がいるんだ! 早く、頼むよ!」




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