第7話哲男のオッパイが大きい
小夜子は、ゴールデンウイークも過ぎ、茶道部にも入り、高校生活がすっかり落ち着いた。そうなると、ついつい村松哲男のことが気になりだした。
哲男にどんな風にして、気持ちを伝えようかと考えた。
あるとき、小夜子が何気なく「ウウン」と咳ばらいをしたら、哲男が「ピクッ」とした。おもしろくなって、小夜子は何度も「ウウン」と咳ばらいをした。小夜子が「ウウン」とするたびに哲男は「ピクッ」とした。
「哲男は私に脈があるな」と、小夜子は思った。
昼休みに、小夜子は「ちょっと話が有るの」と言って、哲男を屋上に連れ出した。小夜子は階段を黙って上がって行った。
屋上の扉を開けて、屋上に出て、給水塔の陰に隠れるようにした。
哲男が聞いた。
「話って何?」
「私は村松君が好きなの」と、小夜子は言った。
「僕は、今田さんの事が嫌いだ」と、哲男が言った。
小夜子は呆然とした。涙も出なかった。
哲男は、小夜子を残して教室に帰った。
小夜子は、哲男と恋人になれると甘い期待を裏切られた。悲しくなった悄然として教室へ帰った。
小夜子は家に帰って、ベッドの上で泣いた。
次の日は哲男と顔を合わせるのも気が重かった。
授業中も下を向いていた。
授業中に何気なく、咳ばらいをすると、哲男が「ピクッ」とした。小夜子は「アレッ」と思った。「私の事がきらいじゃなかったの?」小夜子はおもしろくなって「ウウン」を繰り返した。
昼休みに、哲男が小夜子を誘って屋上に行った。
「僕は本当は今田さんの事が好きだ。だけど、僕の体に人に恥ずかしい事が起こったんだ。それで、今田さんの事を嫌いと言ったんだ」
「何が起こったの」
「僕のオッパイが大きくなったんだ」
「構わないわよ、私村松君のオッパイが大きくたって、構わないわよ。それより、村松君が本当に私の事をどう思っているかが、大切なのよ」
「僕は、今田さんが好きだ」
小夜子は、右手を出した。哲男も右手を出して、二人は握手をした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます