第4話若い健康な力

最初の授業は、現代国語だった。チャイムが鳴って暫くして、中年の女性の先生が教室に入って来た。教室に入って来るなり、その先生は「ウワーッ!すごい緊張。ピーンと張りつめているわね」と、言った。

この授業が終わって、みんなはザワザワとした。少し緊張が解けた。みんなは学校生活に慣れて来た。

体育実技は6組と一緒になって、男女別々に行われた。男子は5組の教室で、女子は6組の教室で着替えた。

15歳の若者は、精力を持て余していて、運動の後は興奮状態であった。友人と大声で性的な話をしていた。

女子も、運動の後は活発になって、大きな声で、おしゃべりをしていた。「美千代、吉田君のことが好きなんでしょう?」

「違うわよ」

「好きなくせに」

「そんな事無いって」

信子「吉田君ってかっこいいよね」

知子「そう、私もそう思う」

ある小雨の日、男子は体育が有ったが、女子は自習だった。男子が体育から帰って来て、着替えたときに、袖が通らなかった。よく見ると糸で袖口を縫ってあった。女子のいたずらだった。

学校の向かいに「イカ焼き屋」が有った。村松哲男は田畑靖彦と一緒に昼休みに、学校の塀を越え「イカ焼き屋」にイカ焼きを食べに行った。

教室に帰ると、手に黒いものが付いていた。何だろうと思うとコールタールだった。学校が、生徒が塀を越えないように塀の上に塗ったものだった。

学校も、なかなかやるものであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る