別れ

「じゃあ行ってくる」

大きな荷物を持って、俺はみんながいる方へ振り返って言った。

「本当に行っちゃうの?」

美紀が俺に尋ねる。

「安心して。すぐに帰ってくるから」

頭を撫でてやった。

亜美や慶介は涙を必死にこらえていた。

「何泣いてんだよ。別に死ぬんじゃないんだから。言ったろ?すぐに帰ってくるって」

「本当・・・・・・だよね。ちゃんと帰ってくるよね」

「あぁ、約束するか?」

「うん」

俺の小指と亜美の小指が絡む。慶介も絡めてきた。

「お兄ちゃんを信じてるかいいよ」

俺と目が合ったときに翔祐は言った。

『指切りげんまん嘘付いたら針千本のーます。指切った』

三人で声を合わせて言った。

最後に

「じゃあ行ってくるよ」

優奈に言った。

「これ持って行って」

「これは?」

彼女からリングに紐が通ったものを渡された。ネックレスだ。

「それ私のおばあちゃんの形見。私のお守りなの」

なら自分が持っておかないと、とは言わなかった。

これは彼女にとって大事なお守り。

俺は彼女を守ることを一番に考えていた。けど俺も守られていたことに気づいた。

彼女は俺のことを心配してくれている。

「離れていても守っていたい。だから受け取って」

彼女から告げられた俺は首から紐でリングを吊す。

「行ってきます」

『行ってらっしゃい』

僕は飛行機に乗って、この地を離れ別の大陸に足を踏み入れた。


もしもの時に書き残しておきます。

俺はエニアメア症消滅と能力の存在を消すために世界を旅をしてます。

そんな俺はいつ殺されてもおかしくないのだ。

俺はヒーローじゃない。世界の英雄になりたいわけでもない。

大切な人と大切な家族と一緒に幸せに暮らすことが俺の望みだ。

そのためにエニアメア症を能力を消さなければならない。

世界の平和のために。

俺はまだ学生です。

義務教育は卒業しているが、高校生である。もしくは大学生。

三人の弟と妹に大切な恋人がいます。

次男の翔祐は努力家で家族思いでしっかり者の弟だ。

慶介はいつも元気で俺に元気をくれる弟。

亜美は可愛くて料理が好きで笑顔が一番な妹。

美紀は俺と出会って日は浅いけど、亜美や慶介の面倒をみて翔祐

の手伝いをするいい妹だ。

優奈は俺の恋人だ。大事な大切な彼女だ。

そんな彼女を置いていくとは俺は最低だ。でも死ぬ気はない。今も行ききている。

だけどこれを読んでいるということは俺は死んでしまったのだろう。

優奈には優奈の人生がある。だから俺のことは早く忘れてくれ。

弟たちは大丈夫だろう。母さんが何とかしてくれる。

今は平和ですか?世界は平和ですか?

それは俺が確認しなければならないことだった。

けどだめだったら、最後にお願いだ。教えてほしい。

優奈は幸せですか?


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