背負う物
俺はついに人を殺した。俺はこの身を汚したのだ。俺は背負うできものを背負わなければならない。ずっと前から、覚悟はできていたはずなのに。いざ、こうなると後悔でしかない。なんでだろう。俺は本当は強くないのかもしれない。ずっと、俺は自分が強い人間だと思っていた。世界を救う、人間だと思っていた。でも、違った。全部思い込みだった。
「さあ、みんな家に帰ろう」
俺はそう子供たちに言った。
俺は子供たちを一緒に山を下りた。山をのぶっていると違って、空気は綺麗だった。
心地の良い、場所になった。理由はあの男がいなくなったからだ。俺が殺したからだ。
子供たちは久しぶりに外に出たのか、元気に騒いでいた。可愛らしい姿だった。
俺は子供が俺が能力を使っていることを見てしまったことを思い出し、すぐに能力の事を記憶から消した。
「みんな、自分の家まで送ってあげるよ」
俺は一人ひとり、家まで送った。家族に会えて、すごく嬉しそうな子供たち。みんな、涙を流していた。本当に良かった。
「本当にありがとうございます」
と母親から、感謝された。
「いえ、たまたま、俺がこの子たちを見つけたんで。でも、本当に会えてよかったです」
俺は母親に言った。俺は子供たちの家まで送っていたが、中にはこの町にいなくなってしまった家族もあった。
でも、一人自分の家をなかなか言わない子がいた。
「君の家はどこ?」
「・・・・・・」
俺は優しく聞いた。何も答えてくれない。この子は最後にしよう。俺は沢山いた子供たちも時間がたっていくうちに少なくなっていた。
そして、残った子は家族がこの町に住んでいない子(3人)と何も言わない女の子だった。
「じゃあ、交番に行こうか。お巡りさんがみんなのお母さんたちを見つけてくれるよ」
俺はそう言って、子供たちを交番に連れて行こうとした。だが、誰かに引っ張られた。俺は誰がひぱっているか振り返った。女の子だった。何か訴えている。
「どうした?」
「・・・・・」
女の子は何も答えない。とりあえず、交番に行かないと。俺は女の子を抱き上げて交番に行った。
「あの~。すいません。この子たち、あの山の小屋で見つけて、それで、他の子たちは家族に返したんですが、この子たちは家がなくて、それで両親の元に返してやりたいんですか」
俺は子供たちがいた山をさしたり、子供たちの頭を撫でたりしながら、警察に言った。
「は⁉待った。この子たちは少し前に合った、誘拐の被害者じゃないか。・・・・・」
警察は黙った。俺を見て。これは俺が疑われているな。どうしよう・・・
「ねぇ、君たち、今まで何していたの」
と警察は子供たちに尋ねた。変な事を言いませんように・・・
「えっと、あのね、変なおじさんが僕をいいことしてあげるって言って、連れて行かれたの。そしたら、急に真っ暗なところに入れられたんだ」
と一人の子供が言った。つられて、「僕も」言い出す、他の子たち。
「それでね、お兄さんが暗いところから出してくれたの。で、それでね。僕たちを連れ去った人が倒れていたの」
と子供はあったことを言っていた。微妙に違うがこの際、そういう事にしよう。
「そうなんだ。ありがとうね。で、君はどうやってこの子たちを見つけたんだ?」
と態度を急に真面目に戻した、警察は俺に聞いた。
「この子たちは、俺が気分転換にあの山に入ったんだ。道は草木で分かりずらかったけど、昔はよくあの山に入っていたから、なんとなく頂上に上れたんだ。
そしたら、3、40代の男に襲われて、俺は必死で逃げていたんだ、そしたら、男がこけて、動かなくなったんだ。そのあとは怖くて知らない」
「ふぅ~ん。それで?」
と警察はメモを取っていた。明らかに考えて、こけただけで人が死ぬなんてありえないだろう。なに、素直にメモしてんだよ。そういうものなのか?
「それで、小さな小屋を見つけて、初めてそこに小屋が有ったことに気が付いたんだ。で、気になって中に入ってみたんだ」
「そしたら、子供たちがいたと。子供たちは状態だったんだ?」
次々を質問をする、警察。これは相当長くなりそうだ。
「牢屋みたいなのに閉じ込められていました。近くに落ちていた岩で叩いて、カギを壊したんだ。でも、さびていてなかなか開かなかったんだ。で、思いっきり蹴ったら、扉が壊れて、子供たちを家に帰そうとして、今に至ってます」
俺は警察に聞かれたこととその先の事を話した。
「なるほど。分かりました。その子たちの事を調べますので、少し待っていてくれ。あ、君の名前は?」
「桜川真一です」
と言ったら、警察は「わかった」と言って奥に行ってしまった。
そして俺はで待合室に子供たちと待った。しばらく待っていると警察が戻ってきた。
「お待たせしました。さっき、その子たちの保護者に電話したところ、明日、みんな、向かいに来るそうです」
「そうですか。分かりました。よかったな、みんなお母さんに会えるんだって」
俺は子供たちの身長に合わせるようにしゃがんで言った。子供たちは喜んでいた。
だが、一人、嬉しそうな子ではない子がいた。あの、無口の女の子だ。普通、両親に会えるなら喜ぶだろ。もしかして、両親と何かあったのか?
「ええ、三浦美紀ちゃんだよね」
警察の後ろからまた一人、女性の警察の人が言った。警察に問われても何も話さない女の子。そして、俺から、まったく離れようとしない。
「美紀ちゃんは今から、保護者の人が来るからね」
と言ったとたん誰かが交番に入ってきた。息を激しく切らしている女性だ。
「はあ・・・はあ・・・!美紀ちゃん!よかった・・・無事だったのね」
と女性は言った。お母さんか。女の子はその人を見たとたん、震え始めた。
そして、さっきまで俺の袖をつかんでいたのをさらに強くつかんだ。
まるで、この子は女性に怯えているようだった。
「失礼ですが、貴方は?」
と警察が俺が聞く前に聞いた。
「失礼しました。私は中央西第二学園施設の学園長の佐藤です。美紀ちゃんの保護者です」
施設?そうか、親が元々いないのか。可愛そうな子だ。だからと言って、俺は何もできないと思うしな・・・
「さあ、帰りましょう美紀ちゃん」
佐藤は女の子に手を差し伸べた。だが、女の子は逃げるように佐藤から見ないように隠れる。
「大丈夫だよ。もし美紀ちゃんの何かあったら、お兄さんが助けてあげる」
俺は女の子の背中を軽く押しながら、言った。女の子はもの凄く不安そうに俺を見た。俺はもしもの時のためにスマホを触っていた。
「大丈夫。さあ」
俺はまだを俺を見る女の子に笑って言った。女の子は震えていた。女の子はゆっくり佐藤のところに歩いて行った。佐藤は歩いてくる女の子を迎えるようにさなかに手をまわした。その時――
ガン!
凄い物音と同時に佐藤は尻もちをついていた。
——掛かった。
「な、なにが起きたの⁉」
何が起きているかさっぱり、理解が出来ない佐藤。
俺は分かっている。俺は山から下りる前に子供たち全員にシールドを付与していた。家族のもとに行った子も今もついている。
「それは俺がこの子に美紀ちゃんにつけたシールドです。悪意のある人間は一切この子に触ることが出来ません。あれ?・・・おかしいですね。学園長であるあなたがなぜ、この子に触れないのですか?」
俺は佐藤に言った。説明をしても、未だに分かっていない佐藤はそれで女の子に触れようとする。何度も、何度も。でも結局、触れる事以前に近づく事すらできていない。これ以上、女の子を佐藤の近くに置いておくのが見ていて嫌になったので、俺は女の子の手を引いた。
「これは俺の能力だ。大人しく白状しろ」
「能力者?なら、こいつを今から処理するのが先でしょ!」
と佐藤は警察に訴えた。
「失礼。自己紹介が遅れました。俺は国際特殊能力研究会、実験部、実験体部、啓発部を所属している。桜川真一だ」
少年の日記には
4月28日。俺が旅を始めてから約、3ヶ月くらいだろうか。一般的な暮らし方をしてないせいで、曜日感覚がなくなってきている。
そんな、陽気な気分でいられるのはもう、終わった。
俺は人を殺した。俺は背負う物は最後まで背負い続ける。逃げたりしない。俺が起こした行動だ。
背負う物は大きいな・・・
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