真実
俺は急いで次の地域に向かった。次の地域は中部地域。この地域は小さい地域で人口はそこそこ多い地域だ。都会とも言えず田舎とも言えないなんとも、中途半端な地域だ。
俺たちがその地域に着いたのは16時だった。先に俺は病院に行き、彼女たちは近くのホテルを宿泊する手続きをしてもらった。
病院にはエニアメア症の患者が48人いた。その後、俺は町を細かく周り、エニアメア症の人を見つけては治し、この繰り返しを5時間ほどした。
俺は彼女たちが止まっている、ホテルに行った。俺は彼女たちがどこの部屋に泊まっているか聞いた。
『どこの部屋?』
とメールを送るとすぐに既読が付いて。
『3階の部屋番号308番の部屋だよ』
とすぐに返信してきた。彼女はどんな速度で文字を打っているのか気になる。
俺はすぐにエレベーターで3階に上がり、
「308、308、308・・・お、有った有った」
俺は呼び出しベルを鳴らした。
そしたら、どたどたと大きな足音を立てながら、ドアが開いた。
「お疲れ、真一君!」
彼女は嬉しそうに俺を迎えてくれた。
「ありがとう」
俺はそう言って、部屋に入った。そのまま奥に向かっていると慶介と美亜が俺の腹に飛び込んで来た。
「兄ちゃんお帰り!」
「お帰り!」
とぎゅっと俺を締め付けて言った。
「ただいま!」
と二人の頭を強く撫でていたら、奥からまた、俺の一つ下の翔祐が大人っぽく
「お帰り。兄ちゃん」
と言ってくれた。この子には反抗期が来るのか少し気になってきた。
俺は不意に翔祐の右手を見た。俺の視界に黒い靄みたいなのが有った。その靄みたいなところが翔祐の右手だった。よく見てみると、翔祐の右手は正確には小指側の第三関節から手首の間が黒くなっていた。
これは俺にはすごく見覚えがある。これはみんなもこんな事はなかったか。
百字帳などを書いているうちに右手の紙に触れているところが黒くなってしまったこと。右手のほとんどの人が体験したことが有ることだ。
「翔祐君、毎日勉強したり家計簿を書いたりほとんど机にしがみ付いているか下の子の面倒を見ているかのどっちかなの。真一君の見てないところでは結構、頑張っているんだよ」
と俺の耳にこそっと彼女が教えてくれた。まるで昔の自分のようだ。でも、
「似てないな」
と俺はぼそっと言った。
「え⁉」
と彼女は俺の独り言を聞こうとした。
「何でもないよ」
俺は二人を抱き上げて翔祐のところに行った。
「ありがとうな。少し休んでいいぞ」
俺は翔祐に言った。
「何のこと?」
ととぼける翔祐であった。俺はすぐに
「誤魔化しても無駄だ。・・・誤魔化すなら右手の洗ってからな」
と俺は言った。
翔祐は何のことか分からず右手を見た。
「あ!」
と今さらだが気づいたみたいだ。俺はそんな翔祐を見て軽く笑って見せた。
そのまま俺は二人をベットに運んだ。
「明日は速いから、早く寝るんだぞ」
俺は二人にそう言って返事を待った。
『うん』
と二人は同時に言い返事をしてくれた。
俺は晩御飯を食べるために部屋にある。冷蔵庫みたいな自販機に何があるか見たら、たこ焼き、カップ麺、焼きそば、などと沢山あった。
俺はたこ焼きを選んだ。
たこ焼きをその隣にあった、電子レンジで温めた。
俺はたこ焼きを食べた後、いつもどうり、日課のメモ日記帳を見直し、日記を書いてすぐに寝た。
翌朝。まだ、誰も起きていない時間俺はホテルから出て、まだ、見れていない患者を治していき。隣の町にも行った。
そして、エニアメア症の人を全員治した後、地域全体に俺たちの事、エニアメア症の事を記憶から消した。エニアメア症の事はもしもの事を考えて、代表に一人だけ、記憶を消さない事にした。
そして、俺たちはすぐに次の地域、中央西地域に向かった。
そして、俺たちが帰ってきたときには、中央西地域はすっかり、景色を変えてしまったのだった。
少年のメモ日記には
久しぶりの故郷。だが、俺の故郷ではなかった。
俺は守りたいだけを守る。今までやってきたように。この地域を俺の故郷をもとの姿に戻してやる。
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