犯罪Ⅱ
俺は心地よい朝を迎えた。昨日はいろいろとあって疲れたが、その疲れが寝たことによって、無くなった。
それに、今日の朝は弟、妹たちがいて、それに彼女もいる。俺の恋人がいる。俺はみんなで朝食を取って、外へ行った。昨日、焼失したはずの病院は綺麗に何もなかったかのような状態だった。
「な、なんで!・・・どういう事だよ!・・・」
ある男が叫んでいた。様子がおかしかった。男はなぜ、そんなありえない事が起きているかのような表情をしているのだろうか。
「あの、どうかされましたか?」
俺は尋ねてみた。男は反射的に俺から距離を取った。そんなに俺は不審な人に見るだろうか。
俺はさっき、男は何を見て驚いていたのか、俺は男が向いていた方を見てみた。そこには病院しかない。病院しか・・・ない・・・!もしかして
「ああ、この病院、昨日すごい火事があって、全部燃えたけど、俺が治したんですよ。何か変ですか?」
俺は男を試すように言った。男は
「嘘だ。あの炎はどんなに頑張っても消えたりしないはずだ!能力の炎だから、消えたりしないはずだ!」
引っ掛かった。男はまんまと俺に騙された。すべて吐いてくれた。やはり、昨日の火事は能力者が意図的にしたもの。
「へえ、あの火事は能力者がやった者なんだ。そうなんですね。でも、なぜそれをあなたが知っているんですか?」
俺は男に自分が騙されたことを自覚させた。男は慌てて、逃げようとした。でも、俺は逃がさなかった。
「逃げても、何をしようと無駄だよ。俺がここにいる限り。お前たちはあとで、痛い目に合ってもらうからな。そう仲間に言っておきな」
俺はそう言って、男を離した。男は俺に恐れているように逃げて行った。俺の昨日の勘はあったていた。俺は男が向かっていった方向を見た。その方向は山だ。少し能力者の動きを見ておくことにした。
「真一君!何しているの。早く、行こうよ」
彼女に俺は呼ばれ、俺は急いで彼女たちの元へ行った。
「何してたの?」
彼女は俺に尋ねてきた。俺は何もなかったような顔をして
「いや、何もしてなかったよ。少しぼーっとしていただけ」
俺はそう言った。もしかしたら、彼女たちを人質にするかもしれない。俺はそう思い、みんなにシールドを付けた。悪意があれば彼女たちに触れることはできないだろう。
その夜、俺は彼女たちが寝た後もずっと起きていた。まだ誰も来ていない。
「今夜は大丈夫かな」
時刻は4時9分。俺たちを呼び出すには遅すぎる時間だと俺は思い、安心して寝ようとした。その時
コンッ、コンッ・・・とドアがノックされた。
俺は体を起こしてドアの前まで行った。俺がドアの前に来た、ちょうどにドアと床の小さな隙間から、何かが入ってきた。
「紙?」
俺はそれを拾い上げた。半分に折られた紙を俺は広げた。
今すぐに病院前に一人で来い。警察を呼んだりしたらお前の身内がどうなるか分かっているのだろうな。待っているぞ、能力者。
人滅の能力者
「人滅の能力者?意味の分からない名前だな。能力で人を滅ぼすって意味か。どちらにしろ、能力者は一人ではなさそうだな」
俺はいろいろ考えた。警察を呼ぶのが正解だろう。彼女たちは俺が能力を付与してあるから・・・
でも、病気の事を知っていそうだから、会いに行くことにしよう。俺は早速、ホテルを出て、病院に向かった。
病院に着いたが誰もいない。人を呼び出しておいて、待たせるとはどういう神経をしているんだ。俺は少し怒っている。
「待たせたな」
俺は声が聞こえた方を見た。そこには顔が上手く見えないようにしているのか、黒マントを羽織っている男がいた。
「ほんとに待たされました!」
俺は怒りをぶつけた。少しすっきりした。
「こい」
男はそう言って海側の方へ歩き始めた。俺は男に素直についていった。太陽が出てき始め明るくなっていくこの町は誰もいないかと思うくらい静かだった。
「ここだ」
男はそう言って、俺を暗い洞窟に入れられた。気味が悪くしかも前から潮風らしき風が体全体に当たっている。
「待ってましたよ!・・・能力者さん」
と奥から低い男性の声が聞こえた。俺はそいつの顔が見たかった為、さらに奥に進んだ。そして、リーダーの顔が見えた。そいつの顔はまさしく悪のリーダーの顔をしていた。それにしてもどこかで見たことが有る気がする。
「どうも、弟が世話になったようだな」
男は言った。弟?俺はその時、やっと思い出した。弟と言うのはあの高速道路で鬼人化していた男の事だ。言われてみると似ている。
「ああ、お前の弟は簡単に解決したから、別にいいですよ。まだ、生きているだけましだと俺は思いますけど」
「ははははは、随分余裕そうだな。これから、たっぷりと恐怖を感じてもらうつもりだけど、これは面白くなりそうだ」
男はケラケラ笑い、俺に負けないくらい余裕っぷりだ。俺はこんな男に恐怖を覚えさせられるわけにいかない。
「恐怖を俺に感じさせるのは良いけど、第一お前ら俺に触れるの?」
俺は男に煽るように言った。男は俺の煽りにイラつき
「抑え込め」
と男は言った。周りにいた、人たちが俺を抑え込もうとした。だが、能力によって、俺に触ることが出来ていなかった。
「何やってるんだ!」
男は仲間を急かし、自分は苛立っていた。
「ダメです。多分、こいつの能力で触ることが出来ないんです」
一人の男が言った。リーダーはさらに苛立ってついに能力を使った。炎を操る能力を。男は炎を俺に向けて投げた。ボール状になっていた炎は俺のシールドに当たり軽く爆発した。前が見えなくなってしまった。この男は仲間ごと殺そうとした。
「ははははははははは、どうだ。こんなもの耐えることが出来るわけがない!」
男は満足そうに言い、笑っていた。男は俺が死んだと勘違いをしているようだ。
「仲間を皆殺しにしようとするのはよくないな」
「な⁉」
「何のための仲間なのか考え直した方がいいじゃないの?」
俺は余裕というような顔をして男に言った。男は言葉を失っていたようだ。
多分俺の予想だが男はまだ、強力な能力を使えるはずだ。場所の事を考えたのか、威力が弱かった。少し警戒が必要だ。
男は今のより威力が強くなったものを俺に投げた。俺は男の弟から貰った、能力を使った。そして、俺と男の10mくらいの距離の真ん中くらいにぶつかり、爆発が起きた。洞窟内がゴゴゴゴゴゴゴと揺れた。
「この様子だと、お前に勝ち目はないと思うがどうする。何なら、俺が本気を出すけど、生きることが出来るか微妙だ」
「お前、さっき、弟の能力を使ったな」
「それがどうした」
男は俺の言葉に汗をたらたら、流して震えていた。
「そんなことはありえない。能力は一つしか持つことが出来ないのだぞ!・・・そんな事・・・・ありえない・・・」
男は震えながら、言った。その震えが声にも響いていた。
ありえないと言われても、俺は元々、二つ持ってたから、そこまで不思議ではないと思うが、・・・・・あ!、あの事を聞くのを忘れるところだった。
俺は今、ここに来た理由を思い出した。
「一つ聞いていいか。エニアメア症と病気について、知っていることを言ってくれ」
俺は男に聞いた。男は俺の話を全く聞かなかった。俺はそのことに腹が立った。俺は男に能力を使おうとした。男はそのことに気が付いたみたいで逃げようとした。だが、俺が入り口側にいるせいで逃げる場所がない。
「頼む、命だけは!」
少し前の意気はどこに行ったのか、すごく気になる。俺はここに来る前からこうなることは目に見えていたが。なんせ、俺の能力はチートだからな。
「わかった。だが、質問に答えろ。エニアメア症について知っていることを言ってくれ。できるだけ詳しく」
俺は男に向けていた能力を消し、もう一度聞いた。
「それは、俺のらのリーダーの父親が持っていた能力だ」
いや、お前はリーダーじゃないのかよ!と俺は心の中でそうツッコミを入れた。
「その父親の能力は・・・病気を作る能力と治す能力がある」
「話しているときに悪いが能力を二つ持っていることは珍しいことなのか?」
俺は少し気になったことを聞いた。
「ああ、とてもすごいことなんだ。能力者は誰でもなれるんだ。後悔や憎しみ、つまり、負の感情を抱き、その思いが強ければ能力を得ることが出来る。だが、俺も他の奴もどんなに強い負の感情を抱いても二つ以上持つことはできなかったんだ。だから、凄いことなんだよ」
「そうか。悪い続けてくれ」
俺は男にエニアメア症について続きを聞いた。男も自分の命ばかり気にしてペラペラと話してくれた。話はだいぶ長くなるのでここからは俺が説明する。
どうやら、リーダーの父の能力により作られた、エニアメア症は一旦、父がこの世界から消した。そして、その息子、つまりリーダーが父の死後、能力を息子が継いだ。それが父の手違いで病気を作ってしまう能力を継がしてしまった。だが、時は遅く、父はすぐに死んだそうだ。
息子は父が死んでから、何もかも無茶苦茶になったそうだ。第一志望の大学に行けず、就職先はブラック企業、そして、息子は周りの楽しそうに過ごしている人たちを恨み。能力を使い、エニアメア症を世界に広げたそうだ。
俺はそれだけ聞いて、洞窟から出て、ホテルの戻った。
ちなみに男からリーダーの居場所を聞いてみたら、リーダーは中央西地域にいるそうだ。これは速く次に行ったほうが良さそうだ。
少年のメモ日記にはこの事をこう書いてある。
エニアメア症について情報を得ることが出来た。速く次の地域に行くことにする。
エニアメア症を作ったものは今、中央西地域にいるそうだ。
この世界を救うにはこの人を止めるか、殺さなければならない。
だが、今決めた。俺はこの世界を必ず救う。例え、この身を汚してでも・・・
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