30分前と現在

さてと、今、俺は何をしているかというと、このじいちゃんの病院のエニアメア症の患者を約半分の人を救った。残り半分は実験だがまとめてやってみることにした。

結果は成功した。今回助けた人の人数は69人だ。さすが、この中央東地域は病人の人が多い。やっぱり感染はするものだそうだ。なら、早く、みんなを助けないといけない。俺は急いで、ここを出ることにした。そのためにお金を銀行で下ろさないといけない。俺は近くの銀行に行った。都会だから、やっぱり人は多かった。そして、俺の番号が呼ばれて受付に行ったら、ちょうど

「動くな!全員地面に伏せろ!」

と銃を持った人が5人入ってきた。これは、なんかの取材か?なんのドラマの取材なんだろう。・・・パンッ!・・・・・

と一人の男が引き金を引いて発砲した。本物だ。これはガチの銀行強盗だ。俺は男たちの指示どうりに地面の伏せた。銀行にさっきまで沢山いた人は逃げて行って、残ったのは、子供と子供を守ろうとして抱いている母親。20代のくらい若い、男性。50代くらいの女性。60代くらいの夫婦二人。銀行のスタッフ。そして俺。なぜみんなそんなに逃げるのが速いんだ。まるで、最初からこいつらがここに来ることを分かっていたくらいの速さだ。みんな生きる事に必死になっていたり、自分より大切の人を守っている人。

「このかばんに金を全部入れな」

男はそう言って、男性スタッフにカバンを投げた。男性のスタッフは慌ててある分を入れようとするが

「早くしろ!なに、たらたらしてんだよ!」

待つことに我慢できなかったのか、男はそう叫んだ。男性のスタッフはさらに焦り始めた。男の荒い声にその場にいた人はみんな怯えた。その声があまりにも怖かったのか小学生の子供は泣き始めた。

「静かにしろ!」

今度は別の男が子供銃先を子供に向けた。子供のそばにいた母親は泣いている子供をかばう様に抱き

「お願い、娘だけは!」

母親はそう男たちに訴えた。

「うっさい!」

男はそう言って、母親を殴った。母親は頬に大きな痣が出来ていた。

「お母さん!お母さん・・・お母さんをいじめないで!」

今度は子供がお母さんをかばった。母親は強く殴られたのか今も床にうずくまっていた。

「もう、うるさい!お前ら同時に殺してやるよ!それなら、文句ないだろ!」

そう言って、男は予備の銃を取り出した。そして、銃先を親子に向けた。母親は体を起こして、子供を抱いた。

―—やめろ・・・やめろ・・・殺すんじゃない・・・やめろ・・・

「やめろ・・・やめろ・・・」

俺は何度もそう言った。俺の声はかすれて誰にも聞こえていなかった。

「死ね!」

「やめろぉぉぉぉぉぉぉ!」

俺がそう言って目を瞑ったときにパンッ、パンッという銃声の音の後・・・・ダンッ、ダンッ・・・カラン・・・カ、カラン、カランカランと金属音が聞こえた。俺は恐る恐る目をゆっくり開けてみた。俺は驚いた。男が撃った弾が透明の壁に止められて、その弾が床に転がっていた。

「何だこれ⁉」

と男はありえない光景に唖然としたがすぐにまた、何発も撃っていた。だが、すべて弾が二人に当たることはなかった。

そして、俺は俺自身に驚いている。なぜなら、俺は能力を発動していたからだ。

これは俺の能力じゃない。一体誰のだ。いや、でも、実際俺が発動している能力だ。いつ、こんなものを使えるように・・・

俺はそんな事を考えている場合じゃないことを思い出して、立ち上がって、二人の前に手を大きく広げて、守るような体制を取った。

「何だ、お前。死にたいなら、殺してやるよ」

そう言って今度は俺に狙いが定まった。俺は

「は、はは、はははははあああああああ」

俺はその場にいた全員に聞こえるように笑った。強盗団全員が静止した。

「何がおかしい!」

男は叫んだ。当たり前だ。俺から見たらこの男たちは子供と相手しているのと変わらないくらいだからだ。だから、俺は

「殺せるもんなら、殺してみろ!俺は此処にいるみんなを守ってみせるよ!」

「なっ!」

男は後ずさった。俺はやっと気が付いた。これは俺の能力ではない事に。この能力は日花里ちゃんのだ。多分、鬼人化の時に能力のレベルが上がり、『消滅』ではなく『奪う』に進化していたんだ。

男は俺以外にもいろんな人に撃った。でも、俺はそれをすべて、防いだ。もう一人も撃ち始めた。俺は途中から面倒になったので人にではなく、銃先に壁を作った。これで、弾切れになるのを待った。犯人たちは銃を捨てて、殴りかかった。俺は殴った。俺は人で初めて本気で人を殴った。強盗団は警察が来て、すぐに捕まった。俺は殴られた母親の傷を治した。

「すいません、怖い思いさせて。傷は完全に治ったと思います。少しでも異変が有れば、病院に行ってください。皆さんも本当にすいませんでした」

俺は頭をさげて、俺の能力を見た人と警察の人を銀行周辺にいた人たちにじいちゃんの能力を使った。じいちゃんの能力は銀行に行く前に消したつもりだった。

これで無事、事件解決!よかった、よかった。


少年のメモ日記にはこう書かれてあった。

12月21日 続 銀行強盗の被害者になった。人生で初めて人を本気で殴った。手の甲がとても痛い。でも、実際痛みはない。そう感じている感じがしただけだった。

俺の能力は傷を治す以外にも消滅まで進化していた。いろいろと便利になったり、ならなかったり・・・

ともあれ、事件は無事に解決したことだから、今日は充分だ。

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