彼女の事
俺はうまく状況を整理できず、今に至っている。彼女はこの病室で過ごしている。
「私はね、もうわかってると思うけど、病気なの。私の病気は今流行ってる、謎の病気なの。だから、ここに過ごしているの。でも、誰に感染したりはしないそうだよ」
そんな事、そんな事今はどうでもいい。感染とかどうでもいい。それより、その病気の事が聞きたい。なんで、病気になったのか。
「この病気はある人が始まりなんだ。その人が世界に10人くらいしかいない、特殊能力者。鬼の子がこの病気を作ったそうだよ。でも、その人はもう死んでしまって、病気を治す方法が分からないの」
鬼の子?鬼の子が原因なのか?本当に治す方法はないのか。俺は必死に考えた。でも、病気の事を何も知らない俺には全く分からない。
「でも、私はこの病気に早くに気づいたから、まだましの方だよ。少しは症状を抑えることが出来るんだ。だから、先はまだ長い、まだ死んだりしないよ。どうする?私の事知って、今も状況整理できていないけど、聞くね。私と友達になる?」
俺はもう、どうしよもなくなって、目から涙がこぼれた。彼女は病気だ。治る方法がない病気だ。それでも友達になる?そんなの・・・そんなの
「そんなの・・・一択じゃねえかよ!・・・」
俺は泣きながら言った。泣いてしまって、最後まで言えない。
「そうだよね。こんな私と友達になんて、なりたくないよね。・・・そう、・・・だよね」
彼女の声は暗かった。俺は決めた。心をぎゅっと締め付けて、俺は涙を止めずに
「優菜と友達になるに決まってるだろ!」
「え⁉でも今、一択って言ったでしょ?それなのにどうして?」
彼女はすごくパニック状態だった。彼女は俺より混乱していた。
「ああ、言ったよ。一択しかないって、言ったよ。優菜が病気だろうか関係ない。そんなのでちっぽけな事で俺たちの関係を潰されたら逆に困る。俺は逃げない!」
「なんで?・・・なんで!」
彼女は叫びそうな声で涙を流していた。
「だって、優菜と話してるとき、すごく楽しかったから、ずっとこの気持ちでいたいって思ったから。だから、優菜の友達になる」
彼女はさらに涙を流した。彼女は手で涙を拭いた。でも、涙は止まってなかった。そのまま、目を手で押さえた。
「桜川君さぁ、さっきから、気安く私を名前で呼んでるよね。だから、私は真一君って呼ぶからね」
「別にいいよ。だって俺たちは『友達』だから」
俺と彼女は友達になっている間に涙は止まっていた。
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