過去の物語

俺は自分の席に座りながら、あたりを見わわした。みんな友達と一緒に楽しそうに話している。俺はその中に入ることはできなかった。俺は諦めずまだ、チャンスがあるグループを探した。

だが、どこのグループも俺が入るスペースはなかった。俺は大きくため息をした。俺はその勢いのまま、寝ようとした。

「見事に独りぼっちですね。って私もだけど」

と横から声が聞こえた。ちなみに俺の席の位置は黒板を前に見て一番左の一番後ろ。そこから見る外の景色の良さと、暖かい太陽にたまに窓から入ってくる風が気持ちいのだ。

そのおかげで、たまに授業中に寝てしまい、授業をしている先生に教科書で叩かれつまり俺が聞こえた方は右から、俺は伏せていた頭を頑張って上げて、声の方を見た。

そこには一人の女子がいた。俺は女子と仲良くするのは、あまり得意ではない。でも、あちらから声をかけて来たのだから素直に優しく答えたら何とかなると思った。

「ああ、すっかり独りぼっちになったよ」

俺は椅子をキーコ、キーコとしながら、腕を頭の後ろで組んで、天井を見ていたら、眠たくなってきた。俺の目はもうすぐ蓋をしそうだ。

——もう、疲れた・・・

俺はそんな事を思っていたら

「桜川君!」

と大きな声が俺の右耳から通って、左耳から抜けていて、気づいた時には

ガッターン!、ガシャガシャ、ガシャーン!

俺は頭を打って天井を見ていた。俺は机と一緒に後ろにこけて、まるで重力が変わったような感じだった。

「フフッ、桜川君だけ重力が変わってる」

と彼女は笑って、言った。俺と同じことを思っていたとは偶然だ。もしかしたら、気が合うのかもしれない。

なんとなくそんな感じがした俺は思い切って、言ってみた。

「俺の友達にならないか?」

こんなことを言うのはとても恥ずかしい。幼稚園児みたいだから、言わなきゃよかった。

「・・・って心の中で思ったでしょ」

彼女は俺の思考を完全に読み切っていた。すごい人だ。なんで人の心が読めるのか分からない。

「それは相手の目や仕草などいろいろなところを見たら、大体分かるかな」

俺はまたしても、彼女に思考を読まれてしまった。なんて人なんだろう。とりあえず話を戻そう。

「話を戻すけど、友達になってくれませんか?」

「その状態で友達申請しないで欲しいな」

と俺を上から言った。そういえばこけてからずっとこの体勢だった。今気づいたが机が俺の腹に食い込んでとても痛い。俺は机と椅子、自分をもとの重力に戻した。いや、重力は変わっていないが。

「友達になるのはいいけど、私の事を知ったら、桜川君は驚いて逃げると思うけどな」

彼女は少し不安な顔をして俺を見ていた。

「あなたはお化けですか?それとも殺人鬼ですか?」

俺は恐る恐る聞いてみた。これでyesと帰ってきたら俺は確実に逃げるだろう。

「そんなわけないでしょ。じゃあ、今週の土曜日、駅前に来て。そこで私の事を話すから」

彼女は俺を睨むように見てきた。そんなに見ないで欲しいと思った。

「わかったよ。お前の事知って、逃げなかったら、友達になるわけだな。いや~、人生初の友達が女子だなんて思いもしなかったよ」

「その呼び方やめてくれるとありがたいな」

と彼女は遠慮しがちに言った。俺は自分が何ていう名前の人かも知らない人話していたのに気が付いた。

「私の名前は坂本優菜。好きなように呼んで」

と彼女は優しい声で言った。こんなに優しい声を聞くのは何十年ぶりだろう。俺は目を瞑って思い返した。だが、思い返そうとしたら、思い出したくない事を思い出しそうになったから、俺は思い出探しはやめた。

そして、約束の土曜日になった。時刻は11時。ちょうど待ち合わせの時間になった。俺はキョロキョロして彼女を探した。なかなか、彼女が来ない。

「桜川君。ごめん待たせたね」

と正面から声が聞こえた。俺は遠くの方を探していたから、近くにいた彼女に気づかなかった。この場面はよく漫画の恋愛物語にある場面だ。でも、俺にはそんな事は出来ない。彼女は息を切らしていた。そして、少し落ち着いたころに

「じゃあ、行こうか」

どこに行くんだろう。俺はどこに行くかは彼女から何も聞いていない。俺は彼女の横を歩いていた。彼女は俺と楽しそうに話していた。だが、俺はなかなか彼女との会話が楽しいと思った。むしろ、とても楽しいと表現するのが正しいと思った。俺はよく笑っていた。こんなに笑ったのはいつぶりだろ。俺の母さんがいた時と変わらないな。俺は彼女の楽しく話していると、目的地に着いた。その場所は

「ここは、・・・病院だな」

なぜ病院に来たのだろ。彼女に関係する誰かが病気なのか。でも、それがなぜ、彼女と俺の関係が関係するんだ。

俺と彼女は病院に入った。そして、入院棟を奥に進んで行った。そして俺はそこで衝撃の事実を知ってしまうのだ。

病室に入っていた彼女。俺は誰が入院しているのか入り口を見た。そこには一つの名前が書いてあった。『坂本優菜様』と書いてあった。

嘘だ。なんで、彼女は今も元気にしているじゃないか。なんで彼女の・・・名前が・・・書いてあるんだ。

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