早起きの朝
今日はいつもより三時間は前に目が覚めた。
寒いから?
寒いね。
でも、多分それだけじゃない。
僕は暖房のスイッチを入れる。
モコモコの上着を着て、布団に寝っ転がる。
そうして、うむむ、と唸るのだ。
頭が働いてないな。お腹が空いて寒い時の方が頭は働くんだ。
そう思いながらも、僕は三十分前に朝ご飯を済ませた。
満ち足りた生活では文学は生まれない。
煙草を咥えて、僕は昔の文豪に思いを馳せる。
神経衰弱、漠然した不安、毎夜飲み交わす酒の席。
僕にもそう言うものはある。精神を病んでいて、キッチンから包丁を取り出して眺めてみたりして、一昨日だかは缶ビール五本は飲んだ。
だけれど、違うのだ。
今は令和で、平成ですらなく、昭和でも無いのだ。
新しい文学を書かねばなるまい。
新しいとは何か。
僕の読んでいる小説には、読む人は必ず気狂いになるものだったり、発光する薔薇が出てきたり、排泄物を好んで食する男の話が載っている。
新しいとはなんだ。
僕は平成の旧化石時代の人間だから、新しいものを思い浮かばない。
暖房のスイッチが切れた。一時間タイマーにセットしていたのだった。
早起きした朝はインスタントのコーヒーでも飲もうか。
僕のなんでもない一日が始まる。
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