第36話 神社
散策を予定している場所は、山道を進んだところにある神社、城の見学、繁華街の食べ歩きだ。
そして俺が提案したものが何かというと……。
「いやぁ涼ちゃんにしてはいいアイデアだね、プレゼント交換会なんて」
「ね! すごく楽しそう! えへへっ」
そう。三ヶ所でそれぞれお土産を買う時間を作り、決められた予算内で買ったお土産をランダムで交換すると言うものだ。
「どうせ何か買うなら、その方がいいかなって思って」
それに、明日の事を考えると、紅葉への何かプレゼントとかを他の人に怪しまれずに色々見る時間が取れるかもしれない。
少なくとも、考える時間にはなるし。
「でも、ふじー。ランダムで良かったの?」
「あぁ。私情なしに楽しめるし、三ヶ所でやるから3回チャンスがある。なんとかなるさ」
「そんなもんかねぇ」
狩谷の心配もわかる。でもこれはあくまで林間学校を楽しむためのものだ。
みんなフェアに、それでいて一喜一憂した方が面白いだろう。
「と言うわけで、まずは神社に出発だ!」
***
「いや疲れた……」
「尊、弱音吐くなよ。と言いたいけれど、これは同感だわ……」
神社の最寄りのバス停から、しばらく歩いた。
……歩いたけれど、まだつかないようであった。
「ま、まぁその分自然も感じらるし? 山田も大丈夫か?」
「儂はワンダーフォーゲル部なので、大丈夫でごわすよ」
「そうだったのか……」
意外な山田の部活もわかったところで、やっと鳥居が見えてきた。
「「「「「「……おぉぉぉぉぉ!!」」」」」」
荘厳な自然の中に聳え立つ、真っ赤なその存在はまさに神聖なものを感じさせる。風の音、山道をせせらぐ川の音、鳥の鳴き声。全てが俺たちを歓迎すると共に、神様の使いとして見守っているように感じる。
まさに『お参り』、俺ら六人は、静かになって鳥居をくぐった。
「ここでは交換会じゃなくて、みんなでおみくじ引く?」
「あ、それいいかもね。くーちゃんナイスアイデア」
確かに交換会もいいけれど、みんなでランダムなものを買うのも面白い。
「何引く?」
「え、恋愛おみくじ一択でしょ」
「だよねー」
何人かに(俺も含めて)緊張が走った気もするけれど、ともかくみんなで引いていく。
「せーのっ!」
みんなで一斉に開く。
俺のおみくじには……『中吉』。
『明日行動に起こそう』……と書いてある。
「みんな何吉だったでごわすか?」
「「「「い、言わないよ!」」」」
心なしか、みんな赤面しながら、結果は言わずじまいとなった。
……まぁ、お守りにはなるかもな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます