第24話 閑話休題
あたし、狩谷葉月は今驚愕している。
「山田くん、もう一回言って……?」
「だから、来栖はんと和泉はんは恋人でごわす」
うんうんおっけー、ちゃんと聞こえた。
落ち着けあたし。確かにふじーとさーちゃんのことしか見ていなかったけども。
二人は中学校の頃から恋やら何やらがあって。来栖もさーちゃんもその手助けをしていたわけで。
……その間二人でずっといたら、何かあってもおかしくない、か。
「……もしかして、あたし結構難しい立場に自分からなりに行った?」
「まぁそうなるでごわすかね」
「まじか……」
つまり、二組の男女をそれぞれサポートしなきゃいけないということか。
「……雑談してる場合じゃない。作戦会議だ!」
「でごわす」
***
「えーと、二人組を三つだから……ジェットコースターに乗る?」
「遊園地じゃなくて林間学校でごわすよ……」
「じゃあじゃあ、シンガポールの屋上の行って……?」
「海外旅行じゃなくて林間学校でごわすよ……」
今までやってきたこともそうだけど、ふじー達のことしか気にしてなかったせいで、さーちゃん達の邪魔をしていたような気がする。
「ねぇ、あたし、やらかしてない? 大丈夫?」
「大丈夫だと思うでごわすよ」
でもあたしだったら、やはり恋人と二人の時間はどうしても欲しいものだ。
元々恋人が居たとしてそこはものすごく共感できる。
「ひとまず、藤ヶ谷はん達を近づけるのと、来栖はん達が藤ヶ谷はん達のことを気にせずに二人の時間を作る、でごわすね」
「うん。予定組むときは私たちが主導した方がいいね」
四人で協力して一組のカップルを成立させる、というミッションだと思っていたけれど——実際そうなのだけれど——、それとは別に二人で二組の男女をいい感じにしなければならない。
思ってたよりも大変な仕事になりそうだ。
「よし、じゃあそんな感じで、がんばろーね山田くん! えへへっ!」
「うん、よろしく」
「普通に喋った!?」
「あれ、山田に狩谷じゃん。教室に残って何してんの?」
「お、来栖はん。それに和泉はんも」
「二人ともヤッホー」
少し山田くんと予定について話していると、来栖とさーちゃんが教室に来た。
「んー……」
「な、何さ。そんなジロジロみて」
来栖とサーちゃんの立ち位置、距離感を見る。
少しでも動けば指や肩が触れそうな距離。話すときは必ず目をしっかりと、真っ直ぐに見て。お互い自然に溢れる笑みは、普通の笑顔とは違う、何か愛しいものを見るかのような……。
「……言われてみれば、確かにそうだなぁ」
「「な、なんの話だよ!」」
「なーんでもないっ! さ、林間学校の話し合いも一区切りついたし帰ろ! えへへっ!」
さて、これからどうやって恋のキューピッドになろうか!
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