第13話 好敵手
「学級委員になりました!
「同じく学級委員になりました、菊原紅葉です。……それでは他の委員会も決めたいと思います」
今日はクラスの委員会を決めることになった。面倒な役職は他にやる人がいないらしく、中学の頃に一度だけ学級委員をやったことがあったので立候補したのである。
男子の学級委員の方はなんか髪を遊ばせて、チャラチャラしてそう。ザ・陽キャラって感じ。ちなみに、涼くんとあだ名が被るという理由で、「やのしー」なんて呼ばれていたりする。
「おい、涼ちゃん。お前結構ピンチじゃないか?」
「なにがピンチなんだ? 訳わかんないこと言うなよ」
涼くんと来栖くんの会話が聞こえてきたけれど意味がわからなかったので気にしないことにしよう。……なぜか桜ちゃんも焦っているように見えるけれど。
「さぁ、それでは決めて行こうか! まずやりたい委員会や係に名前を書いて欲しい」
その掛け声と同時に教室がざわざわしだす。こうなるとしばらくは暇になってしまう。
「菊原さんは何か他の係に入る予定はあるのかな?」
「いえ、特に決めていないですけれど」
「そうかそうか。まぁ確かにこの様子だと必要なさそうだね」
真の陽キャラはこのように誰にでも気軽に話せるのだろうか。私は人見知りをしてしまうきらいがあるので少し羨ましい。まぁ話しかけてくれないと交流できないので助かるけれど。
「あれー! ふじーは図書委員に入るのー? それじゃあ、あたしもそうしよっかな!」
え。ふじー、って涼くんのこと?? 涼くんは私と同じで少し人見知りであって、そんな急に仲良い女友達ができるなんてことは……。
「……好きにしろよ」
あ、あれ? おかしいな。あの涼くんが満更でもないような対応だ。
「ねぇ、紅葉。あなた結構ピンチじゃない?」
「な、なにがピンチなの? 訳わかんないこと言わないでよぉー……」
「これってもしかして、
「ま、まさかそんなはずは……」
正直なところあり得なくないと思う。それに今の私の立場でどうこう言える問題じゃないし。
「じゃあよろしくね! ふじー! えへへっ」
そうやってあざと可愛く笑って見せた少し背の低めの彼女、
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