第4話 班決め
「はーい、今日も
僕らの学校では、オリエンテーション期間に近くの山を登る習慣があるようだ。それほど高い山ではないが、600mくらいはあるので日帰りで登るにはちょうど良い。
たまたま紅葉と同じ電車になって、学校探索をした後。
来栖と和泉が仲良くしているのを見かけてから、紅葉と少し相談をした。それは、来栖と和泉が付き合ってるカップルのような雰囲気を醸し出してたので隙あらば二人きりにさせよう、というものだ。
同じ班になれば2人の距離を縮めることができるかもしれない。見てる感じむず痒くて甘い青春になりそうな予感がするから、見守っていたい。そう思うのは人間として当然だろう、異論は認める。
「それじゃあ、5人で班を……」
「涼ちゃん、紅葉さん! 俺たちと一緒に……」
「藤ヶ谷くん、紅葉! 私たちと一緒に……」
「来栖、和泉さん!」
「私たちと同じ班に……」
先生の呼びかけで僕と紅葉、そして来栖と和泉は同時に声を掛け合った。
まぁ最近の交友関係ならこうなるのも自然なはず、怪しまれはしないはずだ。
……ん?
『『5人!?』』
四人の声が同時にハモる。
【急募】
***
「……それで
「……巻き込んですまんな」
頼んだのは来栖と同じように中学からの塾の同期、言葉遣いが古めかしいがとてもとてもいい奴、
「まぁ話はわかりますた。もともと来栖はんからも万が一の時に備えお声がけいただいていやしてたんで」
「なるほど、わからん。……万が一?」
「いや、気にしないでくだせぇ。とにかく、よろしくだす」
「あぁ、よろしく」
「でも良かったね。涼くんの知ってる人がいて」
「うん、これであの2人を仲良くさせられそうだな」
「……君たち自身も仲を取り持たれてることに気づいていないでごわすか?」
「ん、何か言った?」
「なんでもないだすよ〜。あっちとも話してくるでごわす」
「え、仲良くしてる邪魔しちゃダメだよ……?」
「……それ来栖はんにも言われたでごわす」
意味の分からないことを言って山田は、来栖と和泉のもとへ向かった。
***
「……」
「……」
しまった、最近共有できる話題ができてしまったから忘れかけてたけど、2人になると気まずいんだった。
「……私ね」
「うん」
「前みたいに、涼くんと仲良くしたいんだ」
「……うん」
「……よろしくできますか?」
「〜〜〜〜〜〜〜。は、はい、よろしくお願いします……」
“お願い”はずるいでしょ……。
「よし、とりあえず5人で買い物に行こう!明日からちょうど休日だし!」
「そうだね、それがいい!藤ヶ谷くんと紅葉もそれでいいでしょ?」
「あぁ、いいよ」
「みんなで行った方が楽しいもんね」
ということで、班のみんなで買い物に行くことになった。
(山田! 涼ちゃんと紅葉の仲良し作戦、任せたぜ!)
(山田、来栖と和泉を二人にするために手筈通りに頼む!)
「……お互いに気づかないのがすごいなぁ」
『山田が普通に喋った!?』
今日はやけに誰かと発言がハモるな。
はちゃめちゃ
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