あとがき 後編

 事件パートのAct3では九条くんが気にかけていた雪枝が事件を起こします。

雪枝にはep1【春雷】に登場した頃からシリーズ後半戦で何か大きなアクションを起こして欲しくて、ep3【夏霞】執筆時にはもうep5【雪華】の学校立てこもり事件の案ができていました。


 Act3は“奪われた者達”の話と、してきた悪事は自分に返る因果応報の回。


 ep1【春雷】で21世紀の切り裂きジャックである陣内に継母の殺害を依頼した紺野萌子も、もうひとりの月曜日の切り裂きジャックであり、犯人グループ一味の水穂に殺されました。


 萌子の人物像がep1【春雷】と違う?と違和感を感じた方もいるかもしれませんね。

【春雷】の萌子の登場場面はほぼ萌子の視点となり、萌子が他人からどう見られているかは語られません。 美夜は【春雷】の時点で萌子の裏側を見抜いていましたけどね。


ep5【雪華】では同級生の勇喜や水穂の視点で萌子の人物像を描写しているため、【春雷】の萌子と【雪華】の萌子、自分視点か他人視点かで受ける印象も変わります。


 「私はイイコ」と自分では思っていても周りの評価はそんなことなかった……そういうことなんです。

ある意味では萌子も因果応報で裁かれました。水穂の殺人ってやり方はダメだけどね!


 本陣の五階に辿り着くまでに倒す敵達は弱いの、手強いの、メンタル狂ったの、色々いましたね。

せっかく刑事が主役の警察ものです。

「立てこもり」「刑事vs犯人の銃撃戦」「SATのヘリ出動」と、探偵ものの早河シリーズではできなかった要素を詰め込みました。

美夜だけでなく、九条くんにも銃を撃たせたかったので最後の展開はご覧の通りです。


 お気に入り場面はあとがき前編でも書きましたが、vs滝本の時の、愁さんと九条くんの最初で最後の共闘シーンです✨


美夜という存在を間に挟んだ男二人がとりあえず共通の敵を倒すために今は手を組んでやる感満載のこの場面。

Act2の神社会談からのAct3の共闘。非常に美味しい。ごっつぁんです。


        *


 『前作の早河シリーズ主人公の早河仁がもしも光を手にしなければ、if世界のもうひとりの早河仁』をイメージして創造したキャラクターがミドエンシリーズ主人公の美夜です。


 早河シリーズでは〈どんな理由があっても人を殺してはいけない〉をメッセージに込めていたのに対し、ミドエンシリーズでは〈殺してくれてありがとう〉が主軸になっています。

早河シリーズで提唱した考えを後継シリーズで覆しています。


 自分で生み出した早河シリーズがたまにキラキラ過ぎて眩しくなる時があって、そんな状態の私はミドエンシリーズが居心地良くなっているんです。


 人は誰でも光と闇、表と裏がある。本当に裏表のない人間はいません。

生ぬるい綺麗事では生きていけないと思っている時は、ミドエンシリーズに居ると自分の裏側をゆるされる気がします。


早河シリーズも含めるとかなりの数のキャラクターを産み出してきましたが、美夜が一番、私と性質が近いキャラクターですね。


 早河シリーズから今回来てくれたスペシャルゲストは犯罪組織カオスから、キングの貴嶋さんが登場です。

時間軸は早河シリーズ【完結編 魔術師】の後ですから、あの完結編を経たキングです。


 久々にキングが書けて楽しかったです。キングのてのひらで右往左往する九条くんが可愛い。

まさかのキングがジョーカーの名付け親にしてジョーカーを誕生させた産みの親。


キングとジョーカー(愁)の関わりの伏線は前作、早河シリーズ【第一幕 影法師】エピローグにこっそりひっそりと。かなり長い時間をかけての【影法師 エピローグ】の伏線回収でした。笑

そして実直な日浦が語る彼の〈ボス〉も早河シリーズの登場人物ですね。


 美夜や愁とは直接的には関わりがないけれど、Act3でその片鱗へんりんを露にしたBストーリー的な位置付けの月曜日の切り裂きジャック事件。


 月曜日の切り裂きジャックは早河シリーズ完結編収録のスピンオフ【episode2.父親奮闘記】でも月曜日の切り裂きジャック事件をニュースで報じる場面があります。

このスピンオフは早河シリーズの主人公、早河と彼の娘が主役。


月曜日の切り裂きジャック事件の裏側で起きた東中野小学校飼育動物殺傷事件を早河が解決します。早河シリーズ最後のエピソード、早河最後の事件です。

作者のくせに、最後のページの早河と娘のやりとりの場面を読み返すといつもホロリと泣いてしまう……。


        *


 前作の早河シリーズとは違って読み手を選ぶ物語となったミドエンシリーズ。

ハッピーエンドや読後が爽快な物語を好まれる方には合わないシリーズだと自覚しています。どちらかと言うとイヤミス(読後にイヤな気持ちになるミステリーを指す)傾向ですね。


 大袈裟ではなく、ここまで連載を続けてこられたのは今このページを開いていただいている読者さんのおかげです。

応援の♥️や★評価、温かいコメント、いつもありがとうございます❣️


 案外、自分の作品の良さや面白みは自分ではわからないことが多いです。自分が産み出した作品への100%の客観視は無理ですからね。


私が「面白い、楽しい」と感じる展開が、誰にとっても「面白い、楽しい」展開となるとは限りません。

ですから、♥️や★、一言であってもコメントのリアクションをいただけたり、フォローを外さずに読み続けていただいていると、「この読者さんには面白い、楽しいと思ってもらえてる……のかな?」と、こちらとしてもホッとひと安心しております🙏


 追記 2023年6月に九条くんを主人公としたスピンオフを公開しました。


〜Midnight Eden Sequel〜【Blue Hour】

https://kakuyomu.jp/works/16817330651047179981


時間軸は雪華から3年後。悩み、もがきながらも刑事を続ける九条くんの物語です。


 スピンオフでも、もちろん殺人事件は起こります。最初から最後までけっこうアレがアレな話です。

ほっこりほのぼのストーリーではありません。

体調が優れない時やお食事中に読むのは止めた方が良いかもですが、隣に美夜がいない3年後の九条くんが気になる方はぜひお立ち寄りくださいませ。


 次ページは早河シリーズ&ミドエンシリーズの全作品の作品一覧表になります。


 どっちのシリーズも本編もスピンオフも制覇したぜ!読んでない作品はなかったはずだけど?な方も、そういえば読んでない話があったような?な方も、作品数多過ぎてもう何を読んだか覚えてないよ!な方も、作品紹介を兼ねた次ページの作品リストをチェックです👐


たま~に何のためにもならないノリツッコミコメントもしてます~🙏

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