第21話 地震

 ォ~~~~~~~~~~~~~。

 「・・・何、この、ぉ~~~って言う音」

 「み、見て、地面にまった水がぽちゃぽちゃ波打ってる」


 オ~~~~~~~~~~~~~。

 「・・・イーリス様、水と泥が混ざって、見た目ねっとりしてるんですけど」

 「なっ、何すか、何したっすか」

 「ん、だから、地面をらしてる」


 ゴォーーーーーーーーーーーー。ぞわぁ~~~~~~。

 「イーリス様っ、みっ、見ってっ、見える山の肌が全部崩れ落ちて、木々が流れて行くっ」

 「何するっすかっ、あれじゃニンフ達も獣たちも、いと達も、住む所が無くなるっすっ」

 「いやっ、こんなつもりじゃ、…あれぇーーー、ほ、ほら、おさまって来た」


 オ~~~~~~~~~~~~~。

 「エピメっ」「パンドーラ、私達の居場所が」

 「パパ、ママ、エルピス、お家が」


 「お兄ちゃんひどいよ」

 「いやいやいや、エルピスっ、見ていただろう、お兄ちゃん何もしてないよ」


 「アイデース様お家が無くなっちゃた」

 「だから俺、何もしてないからジュリエット、たのむからにらまないでおくれ」


 ド~ンゴォーーーーーーーーーーーー。

 「あーーー、イーリス様っ、地面がけたっ」

 「べちゃべちゃの泥が流れ込んで行くっ」


 「あそこもけたっ」「あっちも」「こっちも」

 「次兄じけいっ、何すかこれっ」

 「あやぁ~~~、俺にも解らん」


 ゴォーーーーーーーーーーーー。

 「アイデース様っ、地がけてます」

 「ポー兄貴っ、何って事してくれたんだっ」


 「お兄ちゃん、冥界めいかいのペル大丈夫かなぁ~」

 「エルピス有難う、心配してくれて、ペルはきっと大丈夫だ」


 オ~~~~~~~~~~~~~。

 「やっとおさまって来た。イーリス様、あ~し等あそこにいたら冥界めいかいってた」

 「だよだよぉ~」「イーリス様、まじ感謝」「だよねぇ~、それ比べ」


 じぃ~~~。「なっ、何だよぉ~、か、神をうやまえ、俺の所為せいじゃねぇ~から」

 「じゃぁ、誰よ」


 「だっ、誰って、…そらぁ~、お前、あれだ」

 「次兄じけいでないなら誰っすか」

 「「・・・あっ」」


 ォ~~~~~~~~~~~~~。

 「アイデース様、幾ら手加減を知らないポセ様でも大き過ぎます」

 「ヘルメ、俺もそう思う。」


 「じゃこれは」

 「はなたれた厄災やくさい達が動き出したに違いない」


 「どうします。アイデース様」

 「世にはなたれ、動き出した厄災やくさい達を連れ戻すのは至難しなんだ」



 「れはおさまったんじゃが、なぁ~にも無くなっておったぁ~」

 「あんおばあちゃん、お家、無くなったの」


 「お~よ、家だけじゃぁ~ないのよぉ、木も草も、みずうみも川も、何もかんも無くなったんじゃぁ~」

 「何にもないの」


 「あるのはのぉ~、あっちもこっちも、ぱっくりとけた地面と、山々から流れ出した土、そこに育っておった木や草、大きな岩、石、そして泥じゃぁ」



 「どぉ~よ」

 「『どぉ~よ』じゃないっす、厄災やくさい達どうするっすか」


 「…まぁ、それはそれとして、水は減った、なっ」

 「確かにここからは水は無い様に見えるっすけど」


 「…水は減ったけど、イーリス様、あ~しには広大こうだいな泥んこと塵芥じんかいが広がってるだけに見るんだけど」

 「だよねぇ」

 「そっすね。これじゃ住めないっすねぇ~」



 「アイデース様、余計にひどくなってませんか」

 「言うなヘルメ」


 「しかしこれじゃ、いと達を戻しても暮らしていけません」

 「起こってしまった事はどうにもならん」


 かこ。「あっ、エルピスがかめに入っちゃた」

 「どうしたのかなぁエルピス、お兄ちゃんに言ってみ」


 「・・・あの子達の気配がするぅ~」

 「…あの子達、厄災やくさい達の事かい」「…うん」


 「アイデース様、海を見て下さいっ」

 「うるさいぞヘルメ、今又、希望が失われ様としているのだぞっ」


 「アイデース様、あれっ」「ジュリエットまでどうした、何っ」

 「パンドーラ、あれは何だ」

 「エピメ、壁、白い壁がこっちに向かって動いているわ」



 「イーリス様っ、あれ、見て見てっ、海見てっ」

 「なっ、ポセ様っ、海をべる神っすよね、何すかっ、あれっ、」


 「あ~~~、そうね、津波」

 「はぁーーー、壁じゃないっすかっ」



 「うひゃうひゃ、又も俺の出番だぜーーー」

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