第20話 ポーちゃんとふぉーく

 「虹を渡る人達はみぃ~な、足を止めてのぉ~、ジュリエット様達が乗る馬車の馬も、足を止めたんじゃぁ~」

 「あんおばあちゃん、虹を渡って安全な所へ行くんじゃないの、どうして止めたの」


 「神様の怒りがのぉ、そのままこの世にあらわれたのかと思えるぐらいにのぉ、たぁ~くさんの雷に、向こう側が見えんぐらいの雨、それを見てなぁ、みぃ~な立ち止まったんじゃぁ~」

 「雷はびっくりするけど、春奈はるなは雨、怖くないよう」


 「そうかぁ~、春奈はるなは自分で頭は洗えるかぁ~」

 「うん、洗える」

 「シャワーかぁ~」「うん」


 「そうかぁ~、偉いのぉ~、この雨はなぁ~、シャワーがずぅ~っとかかっとる、そんな雨なんじゃぁ~」

 「えぇ~、いき、出来ないよ」



 黒雲の中を無秩序に走る閃光。

 眼球を振動させ、視界をゆがませ、とどろひびく重低音。


 空高くから落ちた水が、地に当り、ずうわぁーーーーーと、雷鳴らいめいにも負けない大音量で迫り来る。

 流れて来る空気は、マイナスイオンを含み、さわやか。


 やがて、雨が上げって行き、地の様子が見える様になった。

 が西に傾く頃には、雲一つない、あかね色の空が広がっていた。

 人々が住まっていた地は、一面に泥水をたたえ、夕日を浴びてしゅ色に染まっていた。



 「あ~し等さ、何処に行けばいいのかな」

 「…水浸みずびたしっすねぇ~」


 「だよねぇ~、泥水飲めないし」

 「あのぉ~イーリス様、あ~し等さ、どうしたら良いかな」

 「そうっすねぇ~、ここは次兄の神に聞いてみるっすか」


 「「 「「 「「 「「 「「じぃ~~~」」 」」 」」 」」 」」

 「・・・えっ、俺っ」


 「そうっす、今ここにいる神の中で一番偉いっす」

 「「 「「 「「 「「 「「じぃ~~~」」 」」 」」 」」 」」

 「・・・いや、ほら、だから」


 「あたし化けたら、ちょっきんするっすよ」

 しゃきんしゃきん。

 「あっ、その輝き、オリハルコン、なっ、何だその小さな短剣が二本、折り重なって、カニの手見たいな、凶悪な武器は」


 「髪を切るのに、ヘファイに頼んで作ってもらったっす、何でもきれるっすよ、だから神も切れるっす」

 しゃきんしゃきん。

 「わかった、わかったから、お股に近付けるの止めてっ」


 「さっきの恨みもあるっす」

 「何とかする、何とかするから」


 しゃきんしゃきん。「どうするっすか」

 「どうするって」


 しゃきんしゃきん。「答えるっす」

 「地だ、地をらして、泥水を海に流してみよう、なっ、だから止めて」


 しゃきんしゃきん。「じゃ、早くするっす、が沈むっす」

 しゃきんしゃきん。「分かったって」



 「それでポーちゃんどうしたの」

 「それでのぉ~、ポセ様はのぉ~、空中から、お~~~きなふぉーくをとりだしたんじゃぁ~」


 「ふぉーく、ウインナーをぶっしゅって、するやつ」

 「そうじゃ、先がの三つに分かれておってのぉ、ばぁ~ちゃんより大きいのよぉ」


 「そんなに大きなウインナーないよ、食べきれないし」

 「ういんなぁ~ではのぉ~ての、地面を突き刺したんじゃぁ」


 「えっ、地べたをぶっしゅって、したの」

 「そうじゃっ」


 「ポセ様は、三叉さんさほこを、虹の中から地上目掛けて投げ打ったんだ」


 「そうしてしばらくすると、ごごごごごっと地響じひびきがし出しての、地面にまっていた泥水が、波打ち始めたんじゃぁー」



 「けらけらけら、俺っちの出番だぜぇ~」

 「うひゃうひゃ、後は俺にも回せ」


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