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「こいつらの動きは封じた。後は楽勝!!」
仏頂面の仁が見た先には英子、若芽、詩路実と早良がいた。皆次々と叫びながら逃げていくその時、波の花中学校舎を仰ぐ空にゴーー‥‥ン ゴーー‥‥んという音が響くと、異次元の空を背に水門開が現れた。
異次元の空の海と異次元の川、水門は通川仁と対峙すると、静かに口を開いた。
「水門は開いた!!」
「ま‥‥‥まさか」
開かれた水門から異次元の水が一気に溢れ出すと、それを浴びた英子はエイ、詩路実はシジミ、若女はワカメ、早良健二は鰆へと姿を変えて、仁の異次元の水の中へと入っていった。
水門は誇らしげに笑みを浮かべると、一言。
「危なかった、彼女達が危険に晒される前に俺が魚類にしてやった!」
「よ、け、い、な、事オォーー!!!」
尚と宏は顔を見合わせた。
「異次元の川の中には獰猛な鰆とエイが泳いでいるよ」
「このままじゃ若女さんや詩路美さんがエイになった英子ちゃんや鰆の早良先輩に食べられてしまう」
「彼らを地上に戻せば元の姿に戻るんだよね。僕は川の底を探してくる」
尚は自ら異次元の川の中に飛び込んだ。
「尚!!」
通川仁の手の中の優実は叫んだ。逆さのままでヤーミは眼の色を変え、意を決して通川仁に言った。
「あたしを捕まえても無駄よ」
「何!?」
「あたしが勝ったら言う事聞いてもらうからね!!」
ヤーミは吊り上げられた状態で仁に掴まれていた手を軸に回転した!
ぐるっと上半身を起こしたヤーミはもう片方の足を通川仁の首に巻き付けると、通川仁の首に絡めたまま上に飛ぶように反動をつけた!!
遠心力で仁の首を締め上げ優実とヤーミを掴んでいた手が緩み、二人は仁の手から離れた!
「おのれぇ!!!」
仁はラインスプルールを回転させながら竿を幾度も振った!
仁の攻撃が無数に撃ち放たれる!!仁の熱光に対し優実は白石に青く輝く光を放ち、ヤーミが闇の中に潜む紫の光を発すると仁の攻撃を迎え撃った!!
動きを封じられた仁にヤーミは言った。
「おじさん、さっさと水中の魚を回収して帰りなさい!」
「どうやって?俺は釣竿はあるが糸巻き機とルアーレスキューしか持っていない」
そんな仁に声をかけた者がいた。
「だったら僕も手伝うよ」
能天気に笑うマット多伊賀の他に異次元の水面からもう一人、誰かが現れた。
「紹介するよ、異性界の僕の友達、
「ハァーイ!!ハジメマシテー!ジンサンヨロシクオネガイシマスーー!!」
陽気に挨拶した外人風の男、理威琉はリール、マットはルアーへと変形し、仁の竿に装備された。
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