第4話》驚異の速さでクリアです

 ドアを開けた先は、ずっと一直線の通路だ。


 「よし、マップ!」


 するとふっと、目の前にマップが表示された。

 思った通り迷路だ。って、これ、マップがあっても大変だな。

 えっと、こう行ってから右に、あ、そうすると行き止まりか。左に行って……。


 ここ突っ切れたら一直線なんだけどな。通路の行き止まりの壁のずっと先がゴール。壊せないかなこの壁。


 「ファイヤーとか……うわぁ!」


 突然、右手から火が出て飛んで行った!


 「なんだ?」


 『今マスターが、ファイヤーを唱えたので発動したのです』


 唱えたって……。そんなつもりはなかったんだけどなぁ。


 「言葉にするだけで発動出来るんだ……」


 『はい。マスターは、直接魔法発動のバシップを取得していますので。普通は、杖を装備している時に発動します。また、連続魔法演唱も取得しておりますので、左右交互に連続して魔法を使用する事が可能です』


 「あははは。そうなんだ……」


 気を付けないと、呟くだけで発動って事だよな。


 「ところでさ。目の前の壁って壊せる?」


 『はい。可能です』


 壊せるのか! よしきた!


 「ファイヤー」


 俺は、右手を突き出し壁を攻撃してみるも、破壊出来なかった。

 うーん。物理攻撃じゃないと壊せないのか?


 「えーと、エクスプロージョン!」


 爆音と共に壁に大穴があいた!

 威力が半端ないな。


 『お見事です』


 「どうも」


 マップによれば、ここの直線上に外に出るドアがある。ぐるぐると迷路を回るよりは、ずっと早い!


 「エクスプロージョン」


 俺は、次々と目の前の壁を壊して行った。そしてとうとう、ドアの前だ。後ろは見事に瓦礫の山がいっぱいだ。10分もかかっていない。マップがあってもあの迷路は、一時間はかかっただろう。


 「ふう。ゴールっと」


 俺は、ドアを開ける。

 ドアの外は、森の中だった。


 「うーん」


 ――クリアおめとうございます。報酬内容を決めますので、ダイスを振って下さい。またステータスで、自動設定も可能です。


 伸びをしていると、声が聞こえた。

 クリアした時のアイテムもサイコロで決めるのか。


 目の前に、六面体のサイコロが出現した。


 ――まずは、ラッキーナンバーを決めて下さい。


 ラッキーナンバー?


 「ラッキーナンバーって、出たら貰えるのが二倍になるとかなのか?」


 『その場面で色々ですが、アイテムの場合はレアが出現します』


 「なるほど」


 サイコロを転がすと、2が出た。俺のラッキーナンバーは『2』になった。


 ――では、10分以内だったので、五回ダイスを振って下さい。


 目の前に五つのサイコロが出現。それをころころと転がす。

 4、3、3、6、そして最後に2が出た!


 「おぉ! レア確定!」


 ――ステージクリア報酬で、経験値5を取得しました。

 ――10分以内でクリアしましたので、マジックバック(無限)を取得しました。

 ――ダイス4で、HP回復の実を一つ取得しました。

 ――ダイス3で、MP回復の実を一つ取得しました。

 ――ダイス3で、MP回復の実を一つ取得しました。

 ――ダイス6で、ラックが1上がりました。

 ――おめでとうございます。ラッキーナンバーの2でしたので、マジックローブを取得しました。


 こういう風に、教えてくれるのか。これならサイコロ振るの自動でもいいかな。

 目の前に出現した鞄を斜めがけして、ステータスを開く。そして、自動振りに設定。

 そう言えばさっき、無限とか言っていたな。

 鞄を開けると、中は空だ。あれ? てっきり手に入れた物が入っていると思ったのに。


 「なあ、取得した物はどこ? 鞄にないんだけど」


 『鞄から出す時は、鞄を撫でるとボックスが表示されます。アイテムをタップする事で出せます。また、鞄をタッチしてアイテム名を言うだけでも出す事ができます』


 あぁ、なるほどね。まあ、口から出し入れ出来ない大きさのもあるとすれば、そうなるか。

 俺は、鞄を擦った。すると、目の前にアイテムボックスの一覧が表示された。

 さっき手に入れたアイテムは、ローブを含めちゃんと鞄に入っている。そして、容量はむげんになっていた――。

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