第3話》マスターになりました

 気がつくと、静まり返った小さな部屋にいた。そこにはドアが一つ。後は何もない。


 ――ダイスラック島にようこそ。ここでは、ダイスがあなたの運命を決めます。


 もうすでに色々ありましたけどね。


 ――この場所は、セーフティエリアになり、ここでも使える魔法とスキル以外は使えません。場所は、ステータスで確認できます。また、ステータスをタップすれば、それぞれの詳細が表示されます。減ったHPとMP、それに状態異常は、セーフティエリアで元に戻ります。それでは、ファーストステージを始めましょう。その扉から出て、もう一つの扉から外へ出て下さい。扉の外がゴールです。ゴールまでの時間で、ダイスを振る回数などが決まります。用意ができましたらスタートして下さい。


 うん? それだけ? 説明それだけかよ。まあいいや。とりあえず、どんな感じかステータスを見てみるかな。

 俺は、左手を目の前でスライドさせ、ステータスを表示させた。

 うん? 魔防が20になっている。

 自分を見てみると、髪は黒、そしてストンとみすぼらしい魔法使いが着るような黒いローブを身に着けている。それだけだ。素足で靴さえ履いていない!


 「なんだこの格好は……」


 俺は、ステータスをタップする。どうやらこのローブが魔防『20』らしい。って、これ物理攻撃受けたらアウトじゃ……。まあ魔力が高いんだから魔法使い系なのか? そう言えばこのゲーム、職業はないのか?


 俺は、そう思いつつ魔力をタップ。すると、魔法がずらりと出て来た。


 これ、全部使える魔法なのか? 消費量が書いてないけど一律なのか?


 「ファイヤーにコールド、ヒールにエクスプロージョン? シールドまである。魔法使いじゃなくて賢者? うん? ナビゲーション?」


 ――使用すると、ログアウト時までMPが10減りますが使用しますか?


 うおぉ、ビックリした。これってナビゲーションの事か? MPが10減るの? でも100あるしいいか。ナビゲーションって言うぐらいだから色々教えてくれる魔法だろうし。


 「はい」


 返事を返すと、すぐ横に野球ボールぐらいの光る球体が現れた。


 『宜しくお願いします。マスター』


 「マスターか。名前で呼ばれるよりいいか。宜しくナビ。えっと、色々教えてくれるんだよね?」


 『はい。答えられる事なら何でもお答えします』


 「じゃ、えーと、この魔法一覧は俺が使える魔法なの?」


 『はい。その通りです。セーフティエリアでは使えませんが、バトルステージでは使えます』


 なるほど。いっぱいあり過ぎて使えこなせるかな?


 「使い方は、言葉にすればいいの?」


 『はい。その通りです』


 「消費量は?」


 『パッシブ以外は、全体魔法が3その他全て消費1になります。威力は、自分の魔力に比例しています。マスターは、1,000ありますので、ダメージは1,000です。相手の魔防によりダメージが減ります』


 凄いな、おい。たぶん殆どの人は、100ぐらいのはずだ。×になった人だけ威力が増している感じだろうし。当たれば、即死に近いかも。


 「これから初めてのステージなんだけど、何かアドバイスある?」


 『はい。どんな事もありですので、ゴールを目指して下さい』


 どんな事もか……。一体どんな事ができるって言うんだ。


 『ちなみに、今回は敵は出ません』


 なるほど。だとしたら迷路みたいになっているのかもな。

 うーん。サーチとかマップとかないのかな?


 「あった!」


 魔法にマップと言うのがあった。これを使えば迷路なら簡単に出られる!

 ある意味、攻撃系特化より魔法系特化の方がよかったんじゃないか? うんうん。HPが低いけど、後でナビに色々聞いて対策を練ろう! やり応え十分だ。魔法を駆使して強くなってやる!


 「よし! まずはここをクリアしてどんな感じか掴む。行くよ、ナビ!」


 『はい。頑張って下さい』


 俺は、ドアを開けた――。

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