犯罪機会論
「お助けください!転生・転移者様!女の子が路地裏でチンピラに絡まれています!」
もはや定番となっている、絡まれている女の子を主人公が助けるイベント。
このイベントは持ち前のチートスキルでこなしておくとして、なぜこのようなことが起きるのか、現代知識を用いて考察してみよう。
従来、犯罪については犯罪原因論という考え方が主流であった。犯罪者が犯罪を起こした原因を究明し、それを取り除くことで犯罪を無くそうという考え方である。
しかし、異世界においてチンピラはチンピラ以外の何者でもなく、彼らに原因を求めても意味がない。
倒したチンピラが悲しい過去などを語り始めても読者にとっては「ふーん、で?」といった話である。
現代社会においても、その人物が犯罪を起こすか否かは外見などから判別できないので、この犯罪原因論は、犯罪を未然に防ぐという観点ではあまり効果的とはいえなかった。
そこで発展していったのが犯罪機会論である。
犯罪の原因は、犯罪が起こった場所の環境によるという考え方だ。
犯罪機会論においては犯罪の発生にはこのような条件があると起こりやすいとされている。
それは、「動機づけられた犯行者」、「適当な標的」、「有能な監視者の欠如」である。
異世界においては、チンピラが「動機づけられた犯行者」、美少女が「適当な標的」、そして路地裏にいることが「有能な監視者の欠如」にあたる。
ここで注目したいのは路地裏だ。有能な監視者のいない場所、つまり路地裏が人気のない場所であるがゆえに、美少女がチンピラに絡まれるイベントが起こると言えよう。
まあ噛み砕いて言うと、犯罪は人目のないところで起きるということである。
ここでの犯罪機会論の役割はこの事実をもとに、防犯を行えることである。そう、路地裏に有能な監視者を起き、犯罪を起こさせないようにするのだ。
その方法としては、花壇を設置するなどがある。東京の杉並区では、花壇を置いて人々が世話をすることで、人々の目が入るようになり空き巣の被害が4分の1になったということが……
「ふむ、ではこうしてみたらどうだろう。魔法発動、監視ゴーレム作成。」
…………
確かにここは魔法の世界、そういう手っ取り早い方法があるよね。
まあ何はともあれ、これで路地裏で美少女がチンピラに絡まれるような事件は減っていくことだろう。
現代を生きる読者諸君も、犯罪が起きやすそうな場所を意識して、事件に巻き込まれないようにしてもらいたい。
知っててよかった現代知識。
使えてよかった異世界魔法。
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