第3話 女梅雨 (****とのコラボ作品)
どうも、『喫茶rain』のマスター、
「お客さんが来ない…まあ、いいけど」
暇なんです。お客さんが来ないことは、良いことなんですけどね。
仕方ないので、今日はお客さんが来るまで新しいメニューでも考えましょうか…
喫茶店で出るようなメニューに一手間くわえてみるのも面白いかもしれませんけど…やっぱり来て下さったお客さんに一息ついてほしいので、無難なオムライスでも作ってみますかーあのふわふわとした卵がたまんないんですよね~(マスターは無類の卵料理好き♥)
オムライスを作っている時、ふと、外に目をやってみると擦りガラス越しに人影が見えたので、火を止め、店の扉を開けて声をかけてみました。
「雨宿りですか?中に入りませんか?」
すると、その人は一瞬驚いた顔をしたけれど、すぐに
「いいのか?」
と、聞いてきました。なので
「もちろんですよ!」
と、その人をカウンター席に案内し、注文を聞くと
「ワイン…無かったらトマトジュースで。」
「かしこまりました。」
店の奥、キッチンに入りワインを探しながら、注文してくれた人の見た目が普通の人ではないことを思い出しました。群青色の髪、金色の目、全体的に色白な肌―。
―いけないいけない。お客さんのことは深く聞いてはいけないという私のモットーに反するところでした。
グラスにワインを注ぎ、お出しするとその人は
「ありがとう。」
と言い、静かに飲んだ。そのタイミングを見計らって私はいつものように悩みをきいてみました。
「…我輩ハインリッヒ、実は
まさかの!この人!吸血鬼だったとは!心の中ではかなり動揺しながらも、顔には出さず更に質問を重ねてみました。
「なら、今日はなんで
「単なる暇つぶしだったのだ。だが、途中で雨に降られて…」
なるほど。けれど、今のこの世の中に吸血鬼を十字架にかける輩がいるのでしょうか…?私の率直な意見をハインリッヒさんに伝えてみました。すると、彼は驚いた顔をし、すぐに表情が曇ってしまいました…
「たしかにそちらの世界ではだな。」
「そちらの世界…?」
「…いや、お前が気にすることはない。」
ちょっと気になりますけど、深く追及するのはやめておきましょう。そろそろ雨も止むところでしょうし。
「…そろそろ雨が止む頃だな。邪魔したな。…人里に来たときは…その…また来る。」
「ふふっ、お待ちしておりますね。」
「それじゃあ、またな。」
カランコロン
「…初めて人外が来たんだけど…上手く接客出来たかな…って、オムライス!!作り途中じゃん!!!」
結局、一から作り直して出来立てを食べました(苦笑)
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