悲しみの夏

痛む体を押さえて、

あの夏の日

体育館の端っこに腰かけた


じわり体に染みる暑さ

うっすらにじむ汗

誰もいない、静かで広い空間


授業でプールを泳ぐ生徒たちの声が

遠くに聞こえる


喧騒から離れた、まるで舞台裏

空はきっと膨らむ入道雲でいっぱい

そこに一つも悲しい要素はないのに

私はいつだってこの季節ににじむ悲しみを

読み取ってしまう


それは夏の終わりの悲しみのせいなのか

それとも昔に失われた多くの命に対してなのか

私にもわからないが

夏はなぜだか

深く 深くに はかり知れぬ悲しみが潜むように感じるのだ


私は前世、夏にでも死んだのだろうか


蝉の声は鎮魂歌

黒い服を着た人々に担がれる棺

夏の日差しよりずっと熱い炎にまかれ

小さな壺に納まって

遠くで祭囃子 灯篭流し

黙とうの号令


頭の中に駆け巡る 知らない記憶から覚め


肌を焼く日光

きらめく水滴 同級生の声

痛む体を引きずって戻っていく


きっと未来の夏にも

同じ悲しみを感じるのだろう

何度でも 何度でも

この魂が 忘れない限り

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