第2話少女サン

「おーい。生きてるか使い魔君?」

俺はこの状況を理解出来ていなかった。俺は自殺したんじゃ・・・・

「あれれ?使い魔君って会話出来ない?ポンコツだった?」

「誰がポンコツだ!」

「あ!反応した!よし行けーー!」

「 行かない。てかここどこ?君だれ?何で?どうして?」

「質問が多い!最低限は教えるよ。私は君を召喚した主人。君は私の使い魔。分かった?だからあいつらに魔法でも使ってやっつけて!」

ますます意味が分からなくなった。召喚?使い魔?魔法?

「え?魔法?無理だけどそんなの」

「え!?じゃあなんか特別な力・・・・とかは?」

「もってない」

「えーー!無能!後ろにいて!」

ドン!っと思いっきり押された。痛かった。いきなり無能と言ってくるのかこの少女は。

彼女はこちらに向かってくる人の方を向き手を前に突き出す。

「行けーー!」

掛け声と共に手の平に「何か」が現れ「何か」から氷っぽい「何か」が飛び出し悪そうな奴らに当たる。

「痛ってーーー!あいつ、王女のくせに・・・やばい動けない」

「なんて力だよ」

悪そうな奴らは彼女の放った氷で身動きが取れなくなっている。

「すごい・・・・」

率直な感想が出てきた。なんかすごい。初めて見た。いや、多分見たことある人はいないだろう。だが恐怖を感じた。

「えへへ。すごいでしょ!」

打った本人はすごいニヤケ顔でこちらを見てくる。うわ、めっちゃニヤニヤしてる・・・・

「・・・ってそんな事より使えない君!早く行こう!」

「 お、おう。」

俺は手を引かれて森の中に・・・あれ、この子今使えない君って言ったか。おい俺は使い魔君だぞ。・・・いや違う裕也だ。危ねえ。


「ここまで来れば安心だね。よし、使えない君。質問どうぞ。」

少女は大きな石に腰掛けそんな事を言ってくる。

「えっと・・・まず俺は使えない君じゃない。使いま・・・じゃなくて裕也だ!」

「だって実際使えなかったじゃないん君」

「そ、それは・・・というか俺必要ないだろ。お前そんなに強いなら。」

俺はまずそれを思った。あんなに強いなら俺は必要なかったんじゃないかと。

少女はまるで聞かせたくないかのようにモジモジし出し、

「そ、それは後で・・・手を汚したくなかった・・・自分で人に手をかけたくなかった。ほら、私王女だし。」

「いや知らないよ。ていうか殺してないし。ただやりたくなかっただけだろ!」

「べ、べべべべ別にそんな事無いし。」

なんだよ。分かりやすいな。こいつ。なんなんだよ一体。ワガママすぎるだろ

「それより帰りたい。帰してくれ」

「それは無理」

そんな。召喚出来るのに。一方通行の入り口とか使えな!自分でやりたく無いって呼び出しておいて俺帰れないってひどく無いですか。

「もう諦めよ。使い魔君。」

少女は今まで見せたことのないくらい明るい笑顔を見せた。

あ、これビジネススマイルだなー

「じゃあ俺はどうすればいいんだ」

「私を守り続けて、死んだらいい」

「死んだら?」

「多分天国?」

「酷すぎる」

「あーー。使えない君!怒んないで!」

なんだよこいつさっきから。勝手に呼び出しておいて。たまに使えない君って言ってくるし。でも俺は自殺しようとしてたわけだし。別に良いのか。

ただ俺はこいつに対して思うところがあった。これは俺に対しての当てつけだと思った。なんでこいつは・・・・

「どうしたの使い魔君?」

彼女はかがみ俺を上目遣いで見てくる。とても可愛らしいと思う。

でも、なんでこいつは・・・・「葉月」にこんなにも似ているんだ。

「お前、名前は。」

「主人に対してお前呼ばわりとは使い魔君はなってないなぁ」

少女は不満そうにしている

「 私は、サン。この国の第一王女で次期女王。」

サンは呼吸を整えるとこちらにしっかり向き直して

「これからもよろしく。使い魔君。」

俺はこの時この少女サンと何か運命を感じたのだ。

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