使い魔は主人のために
ゆーたです
第1話始まりの召喚
なぜだろう。今になって後悔する。どうしようもないくらい後悔する。
だって、今俺は飛び降り自殺したんだから。電車の音が近くなるたび意識は遠のく。
これで楽になれるんだ。俺は今までずっと何かを背負い続けて生きてきた。
やっとこれで。俺はそっと目を閉じ最期の瞬間を待っていた。
ーーー「はい!これあげる!」目の前の少女は手に持っていた何かを俺に渡す。
「なにこれ?」
「時計!これで裕也は待ち合わせに遅れないでしょ?」
「そうだな」
俺は苦笑する。葉月がいつも遅刻してるくせに、今日は俺が遅れたからって・・・・
だがそう返す気は無かった。今日は俺の誕生日。この懐中時計はプレゼントってわけか。
「ありがとな、大事にするよ」
そう言うと葉月は満足そうに満面の笑みで笑っていた。これを見れたし得した
なぁ・・・と
じっと見ていると
「・・・・早く行こ!時間なくなっちゃう」
葉月は強めの口調で俺の手を引いていく。これから散々付き合わされる事さえなければ最高なのに・・・・
薄れる意識の中でそんな事を思い出す。走馬灯らしいものに感激しながら、最期にこれを思い出すとはタチが悪いと思う。本当誰のせいで・・・・と、もう居ない少女に向けて届かないと、叶わないと分かっていても言う。
「今行くからな」
そんな事を言ってすぐに、それはそれは痛い痛みがやってきた。
とっても痛かった。あれ?でもこんなもんなのか?ただ数メートル落ちたくらいの痛みだったぞ。・・・そうか!まだ轢かれていないだ!きっとすぐ・・・・やって・・・きて・・・痛みが・・・。全然来ない。何でだよ。さっきそこまできてただろ。急ブレーキでもしたか?でもそんな音は・・・・というか電車の音も人混みの音もしないんだが。そんな混乱していた時
「おーい。生きてるか使い魔君?」
初めて聴いたどこか懐かしい声が聞こえた。目を開けるとそこは線路でもなく、天国とは言えないただの自然の風景が広がっていた。
声の方を向くと、キョトンとした様子の少女が立っていた。
「良かった生きてた・・・・こんにちは使い魔君!さあ主人の言う事を聞いて。あの悪そうな人たちをやっつけて!」
やばい。理解出来ない。俺、死んだ方が良かったかも・・・・
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