「一般人だったら驚くよね」

…気がつけば、僕らはシャッターの閉まった

駄菓子屋の店の入り口に仲良く並んで立っていた。


もちろん、体にすり傷とかは一切ない。


変わったことといえば、

僕とユウリの立ち位置が店の近くになったことぐらいか。


だが、数メートル先のヨシノスケさんは、

僕らが怪奇現象にでも出くわしたとでも思ったのか、

半ばパニック気味にこちらに向かって走ってくる。


「あの…二人ともさっきまで、

 僕の隣で歩いていましたよね?」


混乱するヨシノスケさん。


…無理もない。


突然目の横にいた子供達が瞬間移動したら、

誰だってびっくりするだろう。


そこで、キヨミさんが何かを察したらしく、

僕らのほうをジロリと見る。


「さては、また別の場所に移動していたね?

 ちょうど良い機会だ…ヨシノスケ。

 この鉱物の元となったキューブについて、

 子供たちから話があるそうだ。」


「…え、なんですか?」


困った顔でこちらに顔を向けるヨシノスケさん。


思わず、僕らも互いに顔を見合わせる。

…うーん、ここまで言われたら話すしかない。


別に秘密にするつもりもなかったし、

協力する大人が増えるのなら、

それに越したことはない。


そして僕らはヨシノスケさんに、

今まで起こった出来事を、

かいつまんで説明することにした。

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