第3話俺のばあちゃん(広夢視点)
俺には、病気のばあちゃんがいる。
俺は忙しい家族を代表して、毎週日曜に病院へお見舞いに通っている。
と、言っても、ばあちゃんはほとんど寝ていて、俺はその隣で勉強したり、読書したりするだけだ。
俺の両親は医者で、小さい小児科を経営している。すっごく忙しくて、そのくせ「できるだけ多くの人を直したい」とか言って休業日もろくに取らない。本当に、仕事しか考えていないような人達なんだ。
俺の姉は、一応難関大に通っている。こっちは親よりも俺のこと、考えてないと思う。遠いせいで俺より早く起きて家を出て、大学の図書館で勉強しているみたいだから、、帰ってくるのは俺が部屋で勉強してるかスマホをいじっているかしてる時。顔を合わせる時間が元々少ない。でも·····昔はすごく遊んでくれて、俺をよく遊園地とかに連れていってくれたのを覚えている。実は、よく出来た姉なのだ。でも今は、忙しい。
俺は、今中一だけどまあまあ忙しい毎日を送っている。
ばあちゃんのお見舞いを考えて日曜に試合あるバスケ部は諦めた。でも、代わりに数学研究会ってのに入って楽しく活動している。俺、数学大好きなんだ。
でも実は、この毎日に不満もある。
別に良いんだけど、我慢できるけど。
出来るなら、俺、お見舞いよりバスケの試合をしたい。それに、ばあちゃんだって俺が「毎週来てるな」くらいの認識しかないはずで、俺がいたって楽しくないはずだ。なんでお見舞いに行かなきゃ行けねえんだ??
前に母さんに言ったら、
「そばにいてあげるだけでも心強いかもしれないし、広夢は暇なんだから病室に行っておばあちゃんを元気づけることくらい良いでしょ?おばあちゃんは病気なんだから、そんなこと言っちゃいけないわ」
だって。あーあ。母さんはお見舞いに行かないってのに。なんなんだよ。
だから、日曜に病院に行くなんてイヤだったんだ。
ーあの日までは。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます