第12話 図書館でお仕事

 それは雨が大降りの日での事である。


 髪にはサンゴ色でハートの髪飾りが輝いていた。例えプラスチックでも大切なパートナーになっていた。



 そして、図書館に初出勤であった。色々紹介されるが覚えきれないでいた。それから、わたしの面倒を見てくれるのは、先輩の沖田さんという名前であった。


 特徴は三十路の独身、身長は高く薄い茶色の髪女性である。


「歌葉さん、折紙は折れる?」

「いえ……折れません」


 わたしは仕事の最初から固まるのであった。み、見られている、そんな使えないな視線は厳しいよ……。


「ごほん」


 こいつはダメだとの目線を治す為に沖田さんは軽く咳払いをする。


「なら、簡単な切り絵を作って下さい」

「はい……」


……。


 あぁぁ、ぐちゃぐちゃになってしまった。


「ゆっくりでいいの、綺麗に作って下さい」


 短気な性格のわたしはどうしても作業スピードを優先してしまう。


「だから、ゆっくりでいいの」


……。


 わたしは切り絵を慎重に作る事にした。試行錯誤の末になんとか一枚完成する。


「歌葉さん、あと五枚は作って下さい」

「はい……」


 それからはわたしの根気の世界であった。気がつくとバイトの終了時間である。


「今日はこれくらいでいいわ、この本を書庫に入れて終わりにしましょう」


 五冊ほどの本を渡されて書庫に案内される。事務所の奥に行くと重い扉がある。わたしは扉を開くとそこは本棚に本の山である。



 小笠原さんが見たら歓喜の嵐だろうと思うのであった。


 えーと、本を番号順に締まってと。


「よく出来ました、本の整理はできそうね」

「ありがとうございます」


 わたしは泣きそうになりながら答えるのであった。働くのは大変だ。


 空は青く雨は上がっていた。わたしはドラくんのキャットフードを買って帰ることにした。


 そして。


 大手チェーン店スーパーにドラくんのキャットフードを買いに行ったのである。


 うん?


 水玉の靴下が目に止まる。そう言えば、靴下が擦り切れていた。わたしは靴下売り場の前で可愛い水玉にするかお仕事用を買うか悩んでいた。


 図書館での仕事は私服にエプロンであったので水玉でも問題ない。


 わたしは母親のGノートで見た子供の頃の自分を思い出す。そう、可愛い小さな靴を履いていた。


 わたしは可愛い水玉の靴下を買う事にした。


 えへへへ、子供っぽいけど満足だ。


 おっと、ドラくんのキャットフードを忘れそうになった。わたしはドラくんに認められたのだから少し高めのキャットフードを買うのであった。

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